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目眩がしたの。
あの日の夕焼けに呑み込まれて、
息ができなくなる。
あの日の乾いた風が
喉の奥の言葉を錆つかせる。
「……な、…んで…赤羽さ…が…」
……もう無理だよ。
掌を伝う汗に溺れてしまう。
背中を駆け巡る寒気、指先に走る痺れ、
釘みたいに地面に突き刺さって動かない足、
あの日と変わらず目を細める眼前の少年。
蝉の鳴き声が響く。
綺麗な黄昏時のこと。
膝の力が抜ける。
踏ん張らなければ座り込んでしまう。
必死に力をこめて立った。
ただ立ち尽くした。
握りしめた拳が痛むことも。
食いしばった唇に血が滲むことも。
もうどうだってよかったの。
「…今更ごめん、A」
私に手を伸ばそうとする彼を、拒もうとした。
拒めなかった。
あぁ、ダメだ。
泣いてしまう。
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ティアー(プロフ) - 怜希さん» ありがとうございます!私的にも終わりはハッキリさせたいな…と思っておりますので、これからもどうぞ宜しくお願いします…! (2017年11月29日 21時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
怜希(プロフ) - 初めまして、怜希です。とても切なくて、涙が出てしまいました。主人公の失恋と主人公の昔出会った男の子との展開、恋物語を楽しみにしています。失恋ですけど、ハッピーエンドになる事を祈ります (2017年11月28日 23時) (レス) id: a102b15976 (このIDを非表示/違反報告)
ティアー(プロフ) - ran ranさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2017年9月30日 11時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
ran ran(プロフ) - 読んでいてとても切なくて、どんどんこの物語に引き込まれていきました。綺麗でとても感動しました。これからも更新を頑張ってください。応援しています! (2017年9月26日 14時) (レス) id: a9500efc22 (このIDを非表示/違反報告)
ティアー(プロフ) - cherrycherryさん» 貴重なご意見ありがとうございます!これからはそのように心がけていこうと存じ上げます。これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2017年9月12日 13時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ティアー | 作成日時:2017年8月14日 21時