27 ページ27
.
「花宮さん！一緒にお弁当食べませんか？」
「…あ、はい」
ユキのところへ行こうとしたところ、高添さんから声がかかった。
…ユキとお話したかったのだけれど…。放課後でもいいだろうか。
「ねえ、そのお弁当、もしかして手作り？」
「はい、手作りですよ」
…うちには、母も父も。
作ってくれるひとなんていないから。
なんて、言える筈もない。
「凄い！お料理上手なのね。その卵焼き、美味しそうだわ。私のと一つ交換しないかしら？」
私のは母が作ったものだけれど。そう言って少し眉尻を下げた彼女。
…どこにそんな要素があったのか、理解できなかった。作ってくれるひとがいるだなんて。私には一生望めない幸せ。
「…ええ。どうぞ」
彼女の瞳の中で、私が少し笑っていた。もう、悲しくもならなかった。
…人間とは不思議な生き物だ。
泣いて、泣いて、泣いて。もう枯れつくしたと思ったら、今度は笑えてくるの。惨めで阿呆な自分に、嘲笑が零れるの。
そして冷静になって、いつしか自分を守るために感情を失ってしまう。
取り繕った笑顔さえ、惨めになるだけなの。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「暗殺教室」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ティアー(プロフ) - 怜希さん» ありがとうございます！私的にも終わりはハッキリさせたいな…と思っておりますので、これからもどうぞ宜しくお願いします…！ (2017年11月29日 21時) (
レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
怜希(プロフ) - 初めまして、怜希です。とても切なくて、涙が出てしまいました。主人公の失恋と主人公の昔出会った男の子との展開、恋物語を楽しみにしています。失恋ですけど、ハッピーエンドになる事を祈ります (2017年11月28日 23時) (レス) id: a102b15976 (このIDを非表示/違反報告)
ティアー(プロフ) - ran ranさん» ありがとうございます！更新頑張ります！ (2017年9月30日 11時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
ran ran(プロフ) - 読んでいてとても切なくて、どんどんこの物語に引き込まれていきました。綺麗でとても感動しました。これからも更新を頑張ってください。応援しています！ (2017年9月26日 14時) (レス) id: a9500efc22 (このIDを非表示/違反報告)
ティアー(プロフ) - cherrycherryさん» 貴重なご意見ありがとうございます！これからはそのように心がけていこうと存じ上げます。これからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2017年9月12日 13時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ティアー | 作成日時：2017年8月14日 21時
