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「…ただいま」
なあんて。
誰もいない部屋に、虚しく溶けていく言葉。
わたしは、一軒家に独りで住んでいる。
ーーあぁ、ひとりで住むには広すぎたなあ。
「は、バッカみたい」
暗い部屋に一つ、零れる乾いた笑み。
制服を脱げば、昨日の痛々しい傷跡が、
身体中に幾つもいくつも残っていた。
大きな姿見の前に立って、
自分の体を見つめる。
「ーーみにくい」
みにくい、なあ。
思わず顔を歪めた。
痛かった。
怖かった。
ーーでも誰も、助けてくれなかった。
寂しかったよ。
辛かったよ。
悲しかったよ。
どうして涙が出るんだろう。
涙なんて。
あの体育倉庫で枯れたはずじゃないか。
どうして寂しくなるんだろう。
感情なんて。
あの日に置いてきた筈なのに。
きえない。
きえないんだ。
いつまで経っても、
「きえない」
まだ真ん丸だったころの綺麗な月が。
夜空を煌めいていた星々が。
冷たい夜の空気が。
冷えたベンチの感覚が。
落ちた涙が。
ーーあの子の、顔が。
浮かんで消えないの。
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ティアー(プロフ) - 怜希さん» ありがとうございます!私的にも終わりはハッキリさせたいな…と思っておりますので、これからもどうぞ宜しくお願いします…! (2017年11月29日 21時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
怜希(プロフ) - 初めまして、怜希です。とても切なくて、涙が出てしまいました。主人公の失恋と主人公の昔出会った男の子との展開、恋物語を楽しみにしています。失恋ですけど、ハッピーエンドになる事を祈ります (2017年11月28日 23時) (レス) id: a102b15976 (このIDを非表示/違反報告)
ティアー(プロフ) - ran ranさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2017年9月30日 11時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
ran ran(プロフ) - 読んでいてとても切なくて、どんどんこの物語に引き込まれていきました。綺麗でとても感動しました。これからも更新を頑張ってください。応援しています! (2017年9月26日 14時) (レス) id: a9500efc22 (このIDを非表示/違反報告)
ティアー(プロフ) - cherrycherryさん» 貴重なご意見ありがとうございます!これからはそのように心がけていこうと存じ上げます。これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2017年9月12日 13時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ティアー | 作成日時:2017年8月14日 21時