長閑な陽射しに殺される ページ9
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彼女と出会って1ヶ月と半月を跨ぐくらいが経ったころ。
彼女の爆弾が起動するのは、
あと、2週間後だった____。
「・・・けほっ、けほけほッ、」
彼女の白い掌に、緋い華が咲いた。
「・・・ッ!?A、大丈夫ですかィ!?今救急車を・・・」
「・・・・・・大丈夫。・・・バクダンの侵食が進んでるんだよ」
「侵食、?」
その時彼女は初めて語った。
「私にコレを埋め込んだ奴らから聞いたんだけどね。ホラ、私の心臓には管が繋がってんだろ?その管から新種のウイルスが流されてるみたいなんだ」
自分の心臓の部分にに手を当てて、彼女は目を伏せた。春先の空気がその髪を揺らした。
桜はもう、少しずつ咲き始めていた。
その頃はまだ、地面の色も、その花弁も、普通の桜と何ら変わりなかったのだ。
「・・・それでね。そのウイルスってのが、体の不調を呼ぶものらしくって。体がちょっとずつ弱ってるみたいなんだ」
彼女はそういって、どこか遠くをみるように自身の掌を見つめた。
紅色に染まったソレは、酷く震えていた。
「・・・・・・そ、ですかィ」
俺は、彼女に何の言葉もかけられなかった。
「・・・暗い顔しないでよ、」
「すいやせん」
あんまり彼女が哀しそうに笑うから、いたたまれなくなってそっと瞳を閉じてしまう。
酷く鮮烈な桜の匂いがたちこめる。
春の風がふたりを包んだ。
・・・・・・彼女がいなくなる日の春風を思うと、長閑な陽射しが酷く邪魔に思えた。
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カモミール。(プロフ) - 情景描写が…凄い…(語彙力)死ネタなのに話がとても綺麗です… (2019年1月2日 18時) (レス) id: e321ef376e (このIDを非表示/違反報告)
山乙女 桜(プロフ) - 何これ凄い‥‥‥‥! (2019年1月2日 14時) (レス) id: c43285d175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ティアー | 作成日時:2018年9月26日 2時