桜に染まり春を彩る ページ13
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その瞬間、強烈すぎる桜の匂いがたちこめ、時が止まったように思えた。
彼女の髪を揺らす春風、彼女を彩る花弁、陽射し。全てが美しかった。
____そして。
大きな爆発音が響いた。
より一層強烈になった桜の匂い。
あまりにも綺麗だった。
身を散らした花弁。
時が流れ忘れようとも、
春が来ればまた、それは咲き誇るだろう。
爆発が収まるまで、俺は何も出来ずにその丘の頂上を、彼女がつい先程立っていたそこを見つめていた。
少しずつ、砂煙がひいていく。
「・・・・・・ッ!?」
目を見張る。
あの桜は、この爆発に耐えた。
それどころか無傷だった。
そして。
彼女はもう、どこにもいなかった。
____かわりに。
美しかった桃色の花弁のかわりに、ひどく鮮やかな血の花弁が舞っていた。
まるで彼女の瞳の色のような、紅色の桜だった。
そしてその根元には、鮮やかな紅の土が広がっていた。
「・・・・・・A」
彼女はきっと未だ、
この桜の下に眠っている。
俺は、そっと少しだけ笑ってみせた。
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カモミール。(プロフ) - 情景描写が…凄い…(語彙力)死ネタなのに話がとても綺麗です… (2019年1月2日 18時) (レス) id: e321ef376e (このIDを非表示/違反報告)
山乙女 桜(プロフ) - 何これ凄い‥‥‥‥! (2019年1月2日 14時) (レス) id: c43285d175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ティアー | 作成日時:2018年9月26日 2時