【暗殺教室】Time limit. (ページ9)

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口に入り込んで来た水は、ページ9

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「ハル…なんで…？」

「A、ごめんね。わたし、友達いなかったから、Aと友達になれてすっごい嬉しかったの。

…だから。私の余命を聞いて、気を遣われるのは嫌だった。ただ、隣で笑ってて欲しかったの」

…ありがとね。
あんたは大好きな自慢の親友だよ。

そんな、無責任なことを言って、彼女はただ力なく笑った。巫山戯ないで。そんな笑えない冗談、やめなさいよ…！そんな悲しい顔で言わないでよ…！

「は、る…そんな、の…ないっ…よ…っ…。
わたしを…おい、てくの…？」

私の震える手を握りしめる彼女の手は、あまりに細く白く、弱々しい力だった。少しでも離せば、ふっと消えてしまいそうで。でも、握り締めれば折れてしまいそうで。

「ありがとう。すっごい感謝してる。私の世界に色をつけてくれたのはAだから。

…ねえ、私のこと、忘れないで…」

…ハル、泣かないでよ。ずっとずっと忘れないから。…だから、いつもみたいに笑ってよ。

い、つも…みたっ…に…っ…。

「Aこそ、笑ってよ。ほら。あんたにはそんなしんみりした顔似合わないって」

笑えない。笑えないよ。…うまく、笑えないんだ。涙が、とまらないの。ハルのせいだよ…。

「ほら…だいじょーぶ。笑って…？」

ハルの細い手が、私の頬に寄せられた。

「っ…」

ほら、ハル、笑ってみせたよ。あんたの我儘なんていくらでも聞いてあげる。…だから、私の我儘も、聞いてよ。

「あはは、やっぱりAには笑顔が似合う。…大好きだよ」

「…やだ…生きてよ…。もっといっぱい、話したかったのに…！遊びたかったのに…！」

…ねえ、ハル。アンタのすきなハーゲンダッツなら、いくらでも奢ってあげる。
知りたがってた私の好きな人だって、教えてあげる。…恋バナでもしよーよ。

…だから。

「行かなっ…で…っ！」

彼女の手が、力なく落ちた。

「あああああああぁぁぁぁっ！！！！
いやっ嫌だよ…っ！ハル…っ！」

病室には土砂降りの雨音と、家族たちの啜り泣く声、私の悲鳴と嗚咽だけが響いていた。

あまりにも黒い曇天は、私の気持ちを表しているみたいで、吐きそうになった。

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