【暗殺教室】Time limit. (ページ23)

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綺麗な世界からページ23

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私は、人並みの幸せを欲しがることさえ許されずに、ただのうのうとここまで生きてきてしまった。

駄目。欲しがっちゃ。
妬みにもにた羨望が。穢いどろどろしたものが。目の前で幸せそうに笑ってる彼らを見ていると、胸の奥からこみ上げてきてしまうのだ。

これが運命だと言うのなら、神様は多分意地悪だと思う。

…あァ、ダメだ。
はやく、はやく。戻らなくては。

右腕で涙を拭って、大部屋に入る。

「みんな、何してるの？」

「A！？起きたの！？大丈夫だった！？」

次々に被せられる質問。
…あァ、心配してくれたのか。

「…うん、大丈夫。心配させちゃってごめんね」

「もー、あんまり無理しないでよ。私たちのために体張る必要なんてないんだから！」

「あはは、で、何の話してたの？」

憎い。羨ましい。なんで私だけこんな目に。

身体中を駆け巡る穢い感情が、喉元までせり上がっては私をえずかせ、不快さを憶えた。

「恋バナだよー」

「そーそー、Aは好きな人とか、気になる人、いる？」

彼女らの言葉に、虫唾が走った。
好きな人なんて出来たって、辛くなるだけで。
もし恋人ができたとして、来年には終わってしまう恋なんて、いらない。

「いないってば〜。ほらほら、転校してきたとき、言ったでしょ？」

深入りしちゃ、ダメなんだって。

必死に隠して、無邪気にわらってみせた。

醜い。醜い私なんて、いらない。
死ぬことが怖くて怖くて、不安で。
そんな私が、柄にもなく、しにたい、なんて思ってしまった。

劣等感に塗れた私は、きらきら笑ってる彼女たちの綺麗な世界の中では、異質なもので。
大きな部屋の中、みんなの輪に囲まれて笑ってる筈なのに、たった独り弾き出されたように感じた。

「ええ〜、じゃ、気になる人も？」

「うん。…あぁでも、赤羽くんは気になるかな」

そっちの類の気になる、じゃないけど。

「カルマかぁ〜。
なーんか意外。何処が気になるの？」

「…何処だろ。
イケメンだし、喧嘩も強いとこ、とか？」

また一つ、嘘をついた。

赤羽くんがイケメンとか、正直どーでもいい。
ただあの人の瞳に、少しぞくりとしただけで。

「まー確かに、
顔だけならカルマもかっこいいかー」

「あはは、」

今宵はなんだか、あんまり眠れなかった。

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