見蕩れてしまうのに ページ21
.
「…泣いてんの？」
「泣いてないよ」
小さな会話の後に、少しの沈黙。
彼の蜂蜜色の瞳が、鋭く光った。
「…何を考えてるの、君は」
涙を軽く拭って、夜空に顔を向けた。
彼の方を見ることが、こわかった。
「……それを知って貴方は、どうするの」
「…さあ、ね」
仰いだ月は、あまりに綺麗なのに。
穢い涙が邪魔をするから
……あれ、よく見えないや。
「……赤羽くん」
「なに」
「貴方は、本当のわたしを知らないのね」
醜くて
惨めで
愚かで
穢くて
臆病な
わたしを。
「…どうして隠すの」
本当の、自分を
「…自分を、護るためだよ」
嘘をつくことで、代わりに。
いつかは綺麗で見蕩れてしまった何かを。
今は目も当てられないほど穢い何かを、
護った。
…ああまるで彼の瞳は。
月みたいだ。
わたしは、かぐや姫にはなれやしないから。
「……興醒めだな」
そう言った彼の瞳が、
まるで棘みたいに、わたしを刺した。
そう言われることくらい、
わかってたのに。
…ばかじゃないの、私。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「暗殺教室」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ティアー(プロフ) - ルチアさん» 更新遅れて申し訳ございません！ (2017年9月18日 23時) (
レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
ルチア - 更新お願いします (2017年9月18日 23時) (レス) id: 8de61f2c67 (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - kobasakuさん» ありがとうございます！更新頑張ります！！ (2017年8月13日 22時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
kobasaku(プロフ) - めっちゃ続き気になります！！更新頑張って下さい！！ (2017年8月13日 22時) (レス) id: f4746d4b2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ティアー | 作成日時：2017年8月9日 23時
