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〜奈穂side〜
『ッ……!!』
当たれば即死級の威力がある拳が眼前に突き出てくる。私はそれを後ろに沿って回避。そのまま地面に両手を着き、反動でその腕を蹴りあげた。中也さんは私から距離を取った
中也「いつの間にか強くなってたんだな……奈穂」
『もう…昔みたいに一発で気を失ったりしません』
あれからずっと私たちは攻撃を続けていた。お互い所々出血し、息も上がっていてボロボロだが、勝負が着くまでこれは終わらない
中也「それも何処まで持つかだなァ……」
『……………っ』
そしてまた衝突
中也「守ってばっかか奈穂!!」
『そっちこそ段々引いて行ってますが!!』
中也さんの重力ののった殴打がくる。羅生門で防ぎながら、残りの布で中也さんを襲う。しかしそれは中也さんが一瞬で拾い上げた小石によって防がれた
『異能力 鏡遊び───────人間失格!』
中也「!!」
中也さんの手に触れながら首領の異能を発動させる。このまま銃で撃てば、中也さんも流石に動けない
『ご覚悟を、中也さん』
トリガーに指をかけた時
『っ…………』
今までの記憶が、頭の中に浮かんできた
"奈穂、笑顔練習すンぞ"
"?……何故?"
"お前は絶対ェ笑った方がいいからだ。ほら、笑ってみろ"
"…………笑ってます"
"嘘つけェ!思いっきり真顔じゃねぇか!!"
"……中也さん"
"お、奈穂じゃねェか。どうした?"
"中也さんに、プレゼント持ってきました"
"何だよいきなり……俺ァ今日誕生日じゃねェぞ"
"いつもお世話になってるから……これ…葡萄酒"
"……………"
"……泣いてます?"
"泣いてねェ"
やっぱり、駄目です
私は貴方を殺せない
『ぐっ………!』
手を弾かれて銃が床を滑っていく。そして、飛んで距離を取った
中也「手前……」
『……………』
やっぱり無理だ、この人を殺すなんて。私には到底できない。この四年半、中也さんには一番お世話になった。怪我をした時も、怒られながら丁寧に手当してくれた。私が任務で大成功した時は人一倍褒めてくれた
『中也さん』
気づけば
『お願いですから、道を開けてください』
頬は濡れていた
『私は貴方を殺したくないです』
中也「………………」
中也さんは顔を隠すように帽子を深く被った
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作者名:るーりん | 作成日時:2022年12月29日 0時