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谷崎「ボクと君は似てる。違いがあるとすればそこだ。探偵社員は───────死にゆく妹と友人を命懸けで救おうとする人間を、放っておいたりはしない」
芥川の目が鋭くなった
芥川「死にゆく妹、だと？」
谷崎「この手紙だ」
谷崎は懐から一枚の手紙を取り出した
谷崎「芥川さんが喫茶店で受け取った、ポートマフィア首領からの手紙。この中に、芥川さんの妹の銀さん、その
芥川「何だと！？」
芥川は手紙を谷崎から引ったくって、文面を凝視した
谷崎「時刻は今日の日没。もう一時間も無い」
厳しい目をしながら谷崎が云った
谷崎「この手紙を読んだ社長が、探偵社員全員に現業務の凍結と、芥川さんの掩護を命じた。今頃皆が、救出のための作戦を立てている頃だ。………とは云え」
ふと暗い表情で谷崎は続けた
谷崎「処刑の刻限まであと一時間。実行出来る作戦の幅はどうしても限られてくる。そもそも………どうしてポートマフィア首領が妹さんの処刑予告を探偵社に送り付けたのか、理由が全く判らない」
芥川「僕への挑発だ」
手紙を憎々しげに握りつぶしながら芥川は云った
芥川「奴め………焚きつけているのだ。刻限までに最上階へ来いと、妹を救いたくば命を懸けよと」
谷崎「罠、ッて事か───────」
芥川「……………………待て」
不意に芥川が谷崎の方を向いた
芥川「社長は僕に掩護を命じたのか？」
谷崎「そうだけど……それがどうしたの…？」
芥川「"奈穂"には出ていないのか？」
奈穂も探偵社の一員。そして、敵に捕まっているのに助けが無いのは可笑しいと芥川は考えた
奈穂の名前を聞いた瞬間、谷崎は困ったように頭を抱えた
谷崎「………芥川さん、それは仕方の無い事なンだ…」
芥川「何故だ？彼奴も探偵社の一人だろう」
谷崎「違う」
芥川の言葉を切るかのように、谷崎は云った
谷崎「彼女は、探偵社に入社する為に必要な試験、入社試験を受けていない。つまり、彼女は正式な探偵社員じゃないンだ」
芥川「何？」
芥川が入社した時にあった爆弾魔事件の試験と同じように、探偵社には入社試験というものが存在する。それを合格しなければ探偵社員には入れない。奈穂は入社試験を受けていない為、探偵社員としては認められないのだ
谷崎「だから、はっきり云うと……ボク達には彼女を命懸けで助ける理由が無いンだ」
悔しそうに谷崎は云った
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作者名：るーりん | 作成日時：2022年12月29日 0時
