夜柱は悲しく輝く2

それから ページ42

貴方Side
怪我も回復して、蝶屋敷で機能回復に励んでいる。
師範が言っていた通り、もう願い星は使えなくなった。

そして前よりずっと落ち着いて戦えるようになったし、気持ちの分動きも軽くなった。

雑念が減ったことで集中力も呼吸の精度も上がって、より強力な刃を振れるようになった。

今まできっと、師範に会えない寂しさと、拭いきれないあの時の絶望を引きずって怖かったのだろう。また、普段誰もいない孤独がより一層そういう気持ちを強めていたんだと思う。

だけどようやく理解した。

私を止めてくれる人がいる。信じられる人達がいると。

私は一人じゃなくなった。とっても幸せな気持ちで満たされている。

貴「柱として不甲斐なし、けどこれもまた一興…よね。ういろう」

あの時のうり坊に名前をつけた。伊之助みたいで、炭治郎みたいな布を巻いているから合わせてういろう。あ、うは名前の響きをよくするために後付けしたの。

善「あぁぁぁ！痛い！薬しみるっ！！助けてAちゃぁぁーん！」

後ろの方から善逸の声が聞こえる。

貴「うふふっ…これからが楽しみだわ…ここから何かが大きく動き始める気がするの」

上弦の壱を倒したのだ。鬼舞辻も黙ってはいないだろう。

貴「けど大丈夫。私達は負けないわ、ね、ういろう」

う「プヒッ」

？「A様」

懐かしい声。振り返ると

貴「桃…！」

ニッコリと微笑むと、桃は涙を流してこちらに抱きついてきた。

桃「御無事でよかったです…！」

貴「心配かけてごめんなさい、私が留守の間ありがとう」

桃「うわーーーん」

こんなに泣きじゃくっているのは初めてだ。それくらい、寂しい思いをさせてしまっていたのかもしれない。

桃「私は剣技には恵まれませんでしたが、一生ついていきます」

貴「もちろん。あなたがいないと寂しいもの」

2人見つめ合って、笑った。

…これは表沙汰には語られていない、鬼殺隊最強と言われた夜柱の話

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