[FAIRYTALE] 天体の滅竜魔道士 (ページ46)

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第44話抜けるページ46

ギルドにつき、マスターの前に歩いていく。
私が来た事に気付いたマスターは片目を開けて声をかけてくる。

なにか、私の考えを感じとったようで、マスターの声はいつもと違う真剣な声だ。

「どうした、A？」

「私、ギルドを辞める。」

周りにいたメンバーは、私のその発言に驚いたようで、私を止めようと声をかけてくる。
しかし、そんなことでは止まれない。

マスターはなにも言わないまま、私の目をじっと見つめる。
辞めることを認めてもらわなくてはいけない、そんな私は、認めてもらうためにも目を逸らさない。

「どうしたんだよ、A！？」

けど、マスターは私の覚悟が分かったのだろう。

私を止めようと声をかけるメンバーに「止めんか！！」と怒鳴る。
周囲は静まる。

「お前がギルドを抜けることを認めよう。」

「ありがとう。」

ギルドを止めるという行為に対して許可が出たからといって、感謝をするのは本来ならおかしい気がするけど…。

そして、マスターから言葉をもらう。

「ギルドを抜けるには、3つの掟を守ってもらわなくてはならない。

１つ。過去の依頼者にみだりに接触し個人的な利益を生んではならない。」

「うん、分かってる。」

「2つ。妖精の尻尾の不利益になる情報は生涯他言してはならない。」

「安心してよ。そんな情報持ってないから。」

「3つ。」

だんだんとギルドを止めるという実感が湧いてきた。
3つ目の掟をマスターの声で聞いてしまってはきっと判断が鈍る。

「道は違えど、強く力の限り生きなければならない。
決して自らの命を小さなものとして見てはならない。
愛した友のことを生涯忘れてはならない。だよね。」

自分で自分への戒めへとして声に出す。
でも、みんな。申し訳ないけど、最後の掟は守れないだろう。

左手にあった黄緑色の紋章を消して、その場を去った。

～～～～～～

Aが去った後の妖精の尻尾。
マスターが重々しい口を開いた。

「まさかAがあんなことを言い出すなんてのう。」

「そうですね。やっぱり評議院に行った時になんかあったのかしら。」

「ヤジマが言うには、おかしなところは無かったらしいが。」

なにしろ、急にギルドを抜けると言ったのだ。しかもS級魔導士。ギルド全体の戦力、士気の低下も心配される。

残されたメンバーが原因を探ろうとすることも、理由がわからないのも無理はない。

彼女が意思を固めたのは昨日の夜のことだったのだから。