第32話 勝利と治療 ページ33
壊れたギルドの前に妖精の尻尾のメンバーが集まる。
私はエルザに肩を貸してもらって、この場に立つことができた。
「こりゃまた、ハデにやられたのぅ。」
「あ、あの…マスター…。」
ルーシィが罪悪感で押しつぶされそうな顔をしている。
そんな顔しなくてもいいのに。ルーシィのせいだと考えている人なんていない。
そこに、チームシャドウギアのメンバーとリーダスがやってくる。
お互いに謝罪し合う。ルーシィは涙を堪える。
マスターは、そんなルーシィに声をかける。
きっともう大丈夫だろう。声を上げて泣いてしまうルーシィにそう感じる。
「勝ててよかったね、エルザ。…ルーシィを守れたよ。」
「そうだな。」
「やっぱりいいギルドだね、妖精の尻尾は。」
肩を支えてくれたことに感謝をしてエルザから離れる。
みんなから離れたところにいるミストガンの元へ足をひきずっていく。
周りの様子を確認した時に姿を見つけた。
きっとマスターの魔力回復に力を貸してくれていたのだろう。
そんな彼に感謝を伝えたい。
「あっ…。」
「大丈夫か？」
彼の元にたどり着く手前で、足の力が抜けて転びかける。
咄嗟に、ミストガンが支えてくれる。
「ん。ありがと、ミストガン。」
「あぁ。…酷い怪我だ。ポーリュシカさんの元に行こう。」
「…うん。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ミストガンは、私をポーリュシカさんの元に運んで去っていった。
「あんた、よく生きていたね。」
「…あれ、私死にそう？」
「今話せている事が不思議だよ。」
「…あれ、そうなんだ。」
どうやら、私はかなり危険な状況のようだ。
黙って治療を受けよう。
そう考えて黙っていると、ポーリュシカさんが話しかけてくる。
「さっきのミストガンだっけ？
あの子が人と関わろうとするなんて珍しいね。」
「…心配してくれるけど、あんま話してはくれないよ。」
「そうかい。」
ミストガンもそうだけど、ポーリュシカさんがこんなに話しかけてくれることも珍しい。
まあ、自分で聞いてきたのに、自分の中で完結したのか話が終わってしまったのだけど。
そういえばミストガンと出会ったのは、ギルドに入ってすぐのことだった。
どうやら、彼の親戚に私と似た人がいたらしくてなにかと気を遣ってくれた。
でも、私もそんな彼の本当の顔を知らない。
彼と会ったときのことを思い出しながら、私の意識は沈んでいった。
そういえば、マスターの事、お礼言えなかったな。
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作者名：あざらし x他1人 | 作成日時：2018年9月20日 23時
