第20話 襲撃 ページ21
あれからは、ちょくちょくギルドに顔を出して、マスターやミラの手伝いをしながら、修行をしていた。
そんなある日のこと。
朝、ギルドに向かって歩いていると、街の人に話しかけられる。
「あ、あなた！妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士さん！！！」
「そうだけど、とりあえず落ち着いて、何があったか聞かせて。」
「ギ、ギルドがボロボロなんだよ！なんか鉄みたいものがはえてて。」
慌てながらも親切に教えてくれた街の人のおかげで、異常に気づくことができた。
その人にお礼を述べ、ギルドの方へ走り出す。
私がギルドについた時、既に何人かがギルドの前にいた。
マスターとミラを見つけて話しかける。
「マスター、けが人はいるの？」
「Aか。いや、襲われたのは夜だ。」
「そっか、よかった。…でも、犯人はなにが目的なのかな。」
仲間に被害が出ていないのなら不幸中の幸い。胸をなでおろした。
それでも、私たちの家をこんなにめちゃくちゃにしたことは許せないけど。
犯人は幽鬼の支配者(ファントムロード)のガジル・レッドフォックス。
ギルドの地下に入り、今後の対応について話し合う。
地下でいつも通り仕事を受け付けることはすぐに決まった。
相手の目的はわからないけど、戦争をするわけにはいかない。
けれど、ギルドをわざわざ襲ってくると言うことは、私たち一人ひとりの住所を調べていてもおかしくない。出来るだけ大勢でいた方が安全だと考えられるから、夜は出歩かないように伝える。
「マスター、やっぱり不安だから、みんなの家一つずつに術式を設置してくる。」
もちろん、ギルドには既に術式を設置しておいた。
妖精の尻尾の紋章を持たない者の立ち入りを禁止する、と。
けれど、家に帰れば、いつ自分の元に犯人が来るかわからない恐怖を感じてしまうかもしれない。
せめて家の中では安心してほしい。
「しかしのう、今日中に全員の家は不可能じゃろう。」
「…明日中にはできる。」
確かに全員の家に術式を設置することは難しい。
けれど、諦めてみんなの安全が脅かされるのは怖い。
そんな私に、ミラが提案をしてくれる。
「みんなでお泊まり会したらいいんじゃないですか？
そうしたら術式を設置する数も減りますし。」
「…うむ。そうじゃな。」
「…ありがとう！」
「そうとなったら、設置する場所を決めましょ。」
ミラは私に向かってふわっと微笑んだ。
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作者名：あざらし x他1人 | 作成日時：2018年9月20日 23時
