30話 ページ30
「でも上の建物は?」
「地上に近い場所の層は態々取り壊して埋め立てするとかちゃうか?貴族の考えはよう分からん。」
「大先生はなんか知らんの?」
「ん?」
「元なんやし。」
「まぁ、ハグマン家系は元々商売やったし金の不自由はないで。商売上手、やからな。」
「他にはあらへんの?」
「あー…先月に箱入れしたとか?あ、いや、奥さんが身篭ってるとかなんとか。」
「カトリーヌ…とか言う奴やっけ?」
「そうそう。容姿不明、年齢不明、家系不明の女。反発も物凄かったとかな。」
俺がゾムにそう説明してると、突然ガラスが割れるような音が聞こえて来た。思わず振り向けばシッマが何かを割った後やった。
「シッマ?!」
「大先生、多分ここや。」
「は?」
「ここにオスマンとトントンがおる。」
そう言って指したのは暗闇が続く階段やった。
「マジックミラーっスか。」
「マジックミラー?」
「あれか、埋まってる奴。」
ライトで照らし、階段を降りて行けばそこから聞こえるのは何か叫んでいる声と冷静な声。
よく聞き覚えのある声やと言うのには少し理解がかかった。
降りた先には禍々しい宗教的な部屋。
よく分からない文字が壁にずらりと書かれている。
目の前にはトントンとグルッペンにオスマンと白い女。
トントンがグルッペンの胸ぐらを掴んで怒鳴っていた。俺達は事の急転に追い付けなかった。
「よう。大先生。」
「マンちゃん…これは…?」
「お説教中。ガチの。」
「なんで?そんな場合ちゃうやろ。」
「グルッペンがヤバいんや。お父さんに似てる…って言ったら分かるんやない?」
確かにそれはヤバい。
グルッペンは親父さんの事を酷く嫌っている。
そんなグルッペンがそう言う状態と言うことは昔のグルッペンっと言う事。
「なぁ、これ…」
「シッマ達は気にせんでええよ。」
「けど、レイが…!」
「その前に親父を正気にさせんと。」
俺はそう言って煙草に火を付けた。
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作者名:更新不定雑飽子 | 作成日時:2020年1月3日 21時