純白の天使 (ページ29)

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29話ページ29

「さて、撃つ事しか出来ない無能兵ども。ささっと全層から兵を引け。そしたら貴様らの生死を頭の片隅程度で考えてやる。」

「黙れっ！さっさと…！」

「おっと、手が滑った。」

ナイフは刃を下にして真っ逆さまに落ち、カトリーヌの足元ギリギリに刺さる。

「さて、どうする？」

見透かしたような青い瞳は目の前にいる困惑する兵士達を捉えていた。

「へ、兵を…引きなさい…お願い…」

「…全隊員に告ぐ、武装を解除しろ。今すぐここから撤退せよ。」

「ほほう。理解のある方で良かったよ、カトリーヌ夫人。」

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「なあ、大先生…やけに少なくないか？」

「おん？別に早く鎮圧出来るからええんちゃう？」

「まぁ…」

「どうしたん？煮え切らん反応されちゃあ気になるやろ。」

シッマがやけに疑っていた。
こう言う時の相棒の勘は嫌ほど当たる。
フラグと言ってもええやろう。
ロボロお手製の板も使う暇さえなくともすんなりと行ける。試しに四層目を除けばガランとしている。

「大先生か。」

「ゾムか。なぁ、これって…」

「変っスよね。それにここ、最下層の入口が見つからん状態です。」

「それ一番ヤバないか？！」

「あと何時間や？」

「残り3時間っスね。」

「グルッペンは？」

「どうやら脱走したっぽくってな。映像を確認したいのも山々やけど、管理室も分からん。多分1番下なんやろ。」

地下へ行く道が無いとすれば。
まだどこか俺らは見逃しているのだろうか。
マンちゃんが見つけたあの地図の壁のように。

「それっぽい扉にロボロさんの板を当てても駄目でした。」

「ショート起こして壊れてもうたわ。」

お手上げ状態。
そう言えばとんちとマンちゃんはどこへ行ったんやろうか？

「あれ、通信が…」

「イカれたか？」

「ここ地下ですから電波関係ですかね？」

「いや、電力の供給はあるやろ。ジャックされてる訳やないし…」

＜おい！＞

「あ、繋がった…」

「煩っ」

「どうしたロボロ。」

＜そっから離れろ！地下水が流れ込んでる！＞

「地下水…？」

「おいっ！」

そう言うシッマの先には水の波が来ていた。
もしやこの地下は地下水の近くか何かだろうか？
だとすれば…

「大先生逃げるで！」

「お、おう！」

そして戻って来た三層目の部屋。
グルッペンが居た場所の真上にいるらしい。

「なんで水…」

「水没させるんやろ。ちょうど、湖が近いし地下から繋げばなんとか行ける距離や。」