脅威少年と気まぐれ狼さん (ページ32)

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32話ページ32

「なんちゃって！嘘だよ。」

「うえ...？」

「ゾム、君は人間だ。そして私がたとえその末裔だとしても君には関係ないことだ。」

厳密にはクオーターなんだけどね。そう言いながら俺の上から退いてあと片付けを始めるA。俺はそんな姿をぼーっと見ていた。

「言ったはずだ。気まぐれだって。」

その言葉が頭を叩くように聞こえた。

「たかが人間。坊やには関係ないんだ。」

吐き捨てるようにそう言った。そしていつもの笑顔で俺に言う。

「君は私を忘れる。いいね？君は人間として生きるんだ。人間に生まれて来た以上。」

「でも、グルッペンは言ってったで。人間になれるって。そうなんやろ？」

「グルッペンが言ってる事であって君の意見ではないだろう。」

びくりと体が反応した。

「もう君は大人になるんだ。我儘だって通用しない。」

Aは俺に背を向けたまま言い続ける。

「悪魔はそもそも下衆な存在だ。それが人間になる？」

とても滑稽な話だね。ゾム。Aはそう言って俺に背を向けたままだった。どんな表情をしてるかすら分からない。

「真に受け過ぎだ。悪魔は下衆だ。君の村だって実はあの後私が滅ぼしておいてあげたんだよ？」

「え？滅ぼした...？」

「あの村じゃゾムは酷い扱いを受けてたんでしょ？だったら無くなったって文句は言えないよ。」

平然とそう話した。
じゃああの小さな墓も、コネシマとシャオロンのものだろうか。

「感謝してよね？」

「な、何を？」

「君を食べずに消える私を。」

Aは振り向いて俺にそう言った。
ギラっと光る金色の目と目が合った。

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
更新ペースが不定ですが。