spin-off ページ50
.
『良い天気……』
建て直された基地を一望できる高台へ足を踏み入れる。暖かな風がそっと頬を撫でる中、私はフェンスへ両手をついた。
トニーはバナー博士と共にヴィジョンさんを復活させた。新しい身体はまだ不慣れなようで、そんな彼をワンダさんは献身的に支えている。ちなみに私もリハビリがてら彼らと訓練したりしていて、最近は結構仲が良かったりする。二人から一緒に出掛けようと誘われた時は流石に断ったけれど。……だってデートの邪魔したくないじゃん？
そんなことを思っていると、不意に「離せ兄上！」という悲痛な叫び声が耳を刺した。身を乗り出して覗き込むと、目に飛び込んで来たのはソーの太い腕に力強く抱き締められて、顔を真っ青にしているロキだった。
鬱陶しそうにソーを突き飛ばしたが、どうやら満更でもなさそうだ。なんだ、あの二人やっぱり仲が良いんだね。
「A！」
『っ、ピーター！学校お疲れ様』
ウェブで飛んで来たのだろう。突然の呼びかけに少し驚きつつも、彼の相変わらずの愛らしい笑顔に胸が暖かくなる。ピーターは私の右腕に視線を移すと、「わあっ」と感嘆を上げた。
「また新しくなってる！これってカーボン製？それともチタン？」
興味津々と言わんばかりのピーターに、私は苦笑いしながら義手に目を落とした。
『もーっ頻繁に沢山作り直されてるから、一つ一つ何で出来てるか覚えてられないの……これで良いって言ってるのにね』
「スタークさんらしいや」
愛しい君の身体だから一切妥協したくないんだ、と真剣な顔で言われて顔を赤くしたのは記憶に新しい。……いけない、下手に思い出すとニヤけてしまう。
『ピーター、お菓子あるから一緒に食べよ？先にリビングで待ってて』
トニーもじきに来る旨を伝えると、ピーターはキラキラと目を輝かせた。待ってるね！と基地へ駆け出した彼の背を見送ってから、私は再び下に広がる景色を見渡した。
その時だった。
突然、ざっと地面を踏む音が耳を掠めた。誰かがすぐ後ろにいる。反射的に振り返った私は、そのまさかの正体に驚き＿＿＿＿微笑んだ。
『おかえりなさい』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 417人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
vanny(プロフ) - Unknownさん» トニー推しの身としては、解釈が合うと言って頂けて一安心です笑これからも頑張って創作に励みますね！素敵なコメントありがとうございました。 (8月30日 12時) (
レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - Unknownさん» このような長い物語を呼んで頂き、本当にありがとうございます。絶対完結させるぞ…！と意気込んで必死に書いて来た日々が報われたような気分です😢私の作品がUnknownさんのお目に止まり、少しでも要望を叶える事が出来ていたのであれば僥倖です。 (8月30日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - そして、3年という長い年月をかけてまで完結してくれたことと、自分の中でのトニースタークの解釈と本当に一致していたのが嬉しいです笑これからも、素晴らしい作品を生み出してください。 (8月29日 0時) (レス) id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - 本当に素晴らしい作品で、一気に読んでしまいました。私もトニースタークの哀しい人生に何か救いがあればいいな、と思っていました。このような本当に素晴らしい作品に出会えた自分の運、そして、作ってくださったことに心から感謝したいです。 (8月29日 0時) (レス) @page49 id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - stupidさん» お気になさらず〜！日常系ですね！分かりました👍ありがとうございます！ (2023年2月11日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：vanny | 作成日時：2022年3月16日 13時
