第230話《序章から終章へ》※ ページ37
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走れ。走れ。走れ。
『はぁっ！はっ、はぁッ、っ……ハッ、はぁっ！』
顔も合わせた事のない古今東西の英雄が、互いに背中を預け合っている。その証拠に、今も誰かが背後の攻撃を防いでくれた。しかし、今の私に礼を述べる余裕など微塵もない。
『(元の時代へ！)』
奴等の手に渡る前に、"これ"を全て元の時代に戻せばゲームセットだ。此方の勝利。人類の勝利。その為にも、私は________
『なっ、』
その時、完全に息の根を止めた筈の敵が、ガシリと私の足を掴んだ。私は不意打ちの攻撃に対応しきれず、バランスを崩し地面に倒れ込んでしまう。
まずい、と思った時には既に遅く。敵は弱った獲物を見逃さず、ここぞとばかりに私を押し倒すと、その鋭い爪と牙で急所を引き裂いた。
『あぁ"ッ！ぅう"……っ』
無慈悲な痛みに打ちのめされそうになる。足に力が入らず、私は気が付くと地面に突っ伏していた。脇腹と右足から温かなものが流れ出ているのを遠く感じながら、腕の中のモノを握りしめる。
ああ、痛い。もう、動けな……
……だめ。
だめ、だ。
だめだっ！！
今諦めたら、血の滲むような五年間の努力も、やっとの思いで連れ戻した奇跡達も、全て無駄になってしまう。ここで倒れるわけには、いかない、のに。
「＿＿＿今、＿＿ぞ！＿＿＿しろ！」
「＿＿＿逃げ＿＿＿」
「＿＿＿＿やめろっ！＿＿＿だ！！」
遠くで、戦場に響き渡る衝撃音と咆哮に紛れた英雄達の声が聞こえる。
情けない身体を叱咤し、霞む視界で周囲を見渡すと、誰も彼もが血を流し、命を燃やして目の前の敵と戦うのが精一だと、痛いくらいに伝わって来る。
この状況で手助けは期待出来ない。自分で何とかするしかない。けれど私は長くない。なら、どうする？
________自問した瞬間、決意が、固まった。
『どけッ！！』
僅かに残った力を振り絞って、私の身体を貪っていた敵の腹部に一撃を喰らわせた。返り血を思いっきり浴びるが、そんなことを気にする余裕はない。
震える足に力を込めて立ち上がる。もう痛みも違和感も何もかも感じなかった。残っているのは、突き動かされるような使命感だけだった。
血煙立ち上る戦場は、自然と5年前の惨状を彷彿とさせる。あの日の覚悟が、悲劇が、後悔が、絶望が、懺悔が、全て蘇る。
『(私は)』
溢れ出る恐怖も不安も押し殺し、手の中でキラキラと輝く＿＿＿ガントレットを睨む。
『(ここで死ぬ。ここで、終わらせる)』
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vanny(プロフ) - Unknownさん» トニー推しの身としては、解釈が合うと言って頂けて一安心です笑これからも頑張って創作に励みますね！素敵なコメントありがとうございました。 (8月30日 12時) (
レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - Unknownさん» このような長い物語を呼んで頂き、本当にありがとうございます。絶対完結させるぞ…！と意気込んで必死に書いて来た日々が報われたような気分です😢私の作品がUnknownさんのお目に止まり、少しでも要望を叶える事が出来ていたのであれば僥倖です。 (8月30日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - そして、3年という長い年月をかけてまで完結してくれたことと、自分の中でのトニースタークの解釈と本当に一致していたのが嬉しいです笑これからも、素晴らしい作品を生み出してください。 (8月29日 0時) (レス) id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - 本当に素晴らしい作品で、一気に読んでしまいました。私もトニースタークの哀しい人生に何か救いがあればいいな、と思っていました。このような本当に素晴らしい作品に出会えた自分の運、そして、作ってくださったことに心から感謝したいです。 (8月29日 0時) (レス) @page49 id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - stupidさん» お気になさらず〜！日常系ですね！分かりました👍ありがとうございます！ (2023年2月11日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：vanny | 作成日時：2022年3月16日 13時
