太宰治至上主義 [文スト] [男主]

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「待ってください。おれの目的は争う事ではない。提案をしに来たんです」


「提案だと？」


「はい。おれは在る男性と話がしたいだけです。…まァ、密入は見逃せませんが」


「話？」


「武装探偵社等信じられるか。話はしない！」


「…矢張りおれに平和な話し合いは無理だ」




男の一人がロックを解除し引き金に手を掛けたのと国木田が動いたのはほぼ同時だった。異能で銃を出現させた国木田が放った弾丸は男の拳銃を確実に貫き、人の命をいとも簡単に奪う其れは只のガラクタへと化す。何処から球が、と焦って一斉に発砲する男達を見て国木田は顔色を変えてAに伏せろ！と叫ぶが遅い。Aの眼前に球は迫ってきていた。


何発もの球がAに当たる、その瞬間何かを呟いたAの姿が消えた。




「なっ…何処へ行った！？」


「真逆、異能者か！」


「お見事、正解です」


「後ろだ！」




仲間の声に振り返った男の意識は、Aの姿を捉える前にAに手刀を食らわされた事により失われた。ぐらりと倒れる仲間にヒ、と怯え一歩下がった男に同じ様に手刀を叩き込む。国木田が危ないだろう！とAに怒り乍ら他の男を見事な体術で地に伏させていた。


国木田とAは五分も掛からずに一人を除いてマフィアの黒服達を伸していた。




「却説、貴方にお話が在ります」


「ｯ…」


「おれ達探偵社はとある女性に依頼をされました。彼が浮気をしているかもしれない、と」




突然話し出したAに黒服の男は恐怖する。戸惑いを感じている暇何て無かった。今話を聞き逃せば恐らく自分は殺される。確証は無かったが男は一文字一句聞き落とさぬ様耳を澄ませた。


目の前の綺麗な少年の告げる内容に馬鹿ではない男は之は自分の事だと徐々に判り始めていた。然し、男は浮気何てした覚えが無いし、其れだけの事で周りに倒れる同僚達が襲われたと思うとふつふつと怒りが沸いてくる。




「何故怒っているのですか？」


「！」


「浮気云々が依頼人の勘違いだったにせよ、密入は許された事ではありません。どの道貴方方は捕まる未来にある」


「…くそｯ…!!」


「動くな、抵抗をしたと此方が見なせばその時点で発砲する」




チャキ、と国木田に構えられた銃を見てとうとう男は完敗だと頭を垂れた。

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