新人くん ページ14
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「猫谷Aと申します。本日から此処で働かせて頂く事に為りました。至らぬ者でございますが、どうぞ宜しくお願いします!」
ガチャリと社長室から先刻入室した少年が出てきて、乱歩が社内の意識を集めた所で新人の挨拶が始まる。何処かソワソワとしていた太宰だったが彼が書類に集中していないのは日常茶飯事の為、特に何かを云われるという事態には陥らなかった。
年の割にきちんとした敬語が使えている少年、Aに国木田のAへの好感度が上昇した。普段相棒の飄々とした態度に振り回されている国木田は後輩が出来た事を気に太宰が態度を改めて呉れたら…と未だ話してもいない新人に思いを馳せる。
少し前、Aが探偵社内に足を踏み入れた際に顔を見ていなかった与謝野は、挨拶をするAを見て一年程前にデパートで出会った少年だと初めて気付いた。一年も前の事を良く覚えていたね、と自分自身に驚く与謝野だがあの時のAの咄嗟の判断力を思い出してあれは印象に残るなと自己完結する。しっかりしている様だしこれからの活躍に期待しよう、然して、Aが万が一怪我をする様な事に為った際にはあの恐ろしいくらいに整った顔がどう歪むのか愉しみだと思った。
Aから一歩下がって彼の挨拶を見ていた乱歩は先刻社長室で見せた笑みと今此処で浮かべている笑みに違いが在る事を観察していた。何時も作っているのだが、どうも今の方が自然な気がする。と云っても、Aの演技は事前に"怪しい奴だ"と判っていなければ乱歩でも見抜けたかハッキリとは判らない程完璧なものだが。話が逸れたが、此の自然な笑顔が入社希望理由の太宰が此処にいるから、と繋がるのだろう。それしか推理出来ない事実に乱歩は歯痒い気持ちでいっぱいだった。猫谷、今日から暴いて行くからな。乱歩は緊張した風を装うAの後頭部を軽く睨み付けて人知れず宣戦布告をした。
「嗚呼、宜しく。俺は国木田独歩だ」
「妾は与謝野晶子、また会えて嬉しいよ。怪我したら妾の所へおいで、治してやるからさ」
「私は…って私はいいか、」
「なンだい、知り合いかい?」
「ええ。ねェ?A」
「はい、太宰さんにはいつもお世話になっております」
「…人違いではなくか?」
「国木田くん酷い」
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緑猫(プロフ) - ねこまろ。さん» 修学旅行お疲れ様です!更新された瞬間だなんて嬉しいです!応援もありがとうございます!更新頑張ります! (2018年5月23日 16時) (レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
ねこまろ。(プロフ) - 修学旅行でこの作品から3日も離れていました。悲しいです。いつも更新された瞬間に見に行ってるのに……。あと、猫音からねこまろ。に名前を変えました!名前変えてからも応援し続けますよ!うっとうしいぐらいに、ずっと応援します!更新ファイトです! (2018年5月23日 15時) (レス) id: 4738577f15 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫 - 猫音@底辺さん» そこまで楽しんで頂けていると思うととても嬉しいです!ありがとうございます!!頑張ります! (2018年5月6日 22時) (レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
猫音@底辺(プロフ) - 最近の楽しみがこの小説を読むことです(笑)僕、いつも楽しみにしてるんで、これからも頑張ってください! (2018年5月6日 15時) (レス) id: 4738577f15 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫 - 蒼さん» ありがとうございます!頑張ります!! (2018年5月3日 16時) (レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緑猫 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=92287f70ddf83f82a39ea7c9d0c473c7...
作成日時:2018年4月7日 15時