探偵社 ページ12
*
「はい」
コンコン、と武装探偵社の扉がノックされ掃除をしていた事務員さんがその手を止めて扉を開けた。依頼だろうか、とその場に居た者達が各々書類を片付けながら聞き耳を立てる。窓際のデスクに腰掛けビー玉を日差しに透かしている名探偵、江戸川乱歩は興味なさげだった。
先日お電話させて頂いた"猫谷"です。あぁ、判りました、其れでは社長室に。あ、ありがとうございます。
その声を聞き太宰はうふふ、と口角を上げた。上手く行っている様だ。初めての場所に緊張している青年、と彼を知らない者なら思うだろう。
「"猫谷"…と云うのは確か、」
「入社希望の若者だねぇ」
「与謝野女医。しかし先刻のは、」
「嗚呼、些か若すぎやしないかね…」
うんうん、既に不思議に思われている様だ。頑張り給えよA、基、猫谷A。
太宰は社長室へと姿を消したAに声援(エール)を送った。勿論本人に届いてはいない。
「初めまして、猫谷と申します。本日はお忙しいところお時間を割いて頂き誠にありがとうございます。よろしくお願いします」
「嗚呼、座りなさい」
「失礼します」
緊張してぎこちない笑みを浮かべるAに、何処か違和感を感じる福沢。此処で問い質しても佳いが其れは後にするか、と基本的な質問をぶつけていく。
「まず、簡単な自己紹介を」
「はい、ワタクシは猫谷Aと申します。齢は17です。高校を中退し現在はアルバイトをしています」
「中退?何か理由が?」
「其れは御社を希望する理由と成るのですが、数ヶ月程前に事件に遭遇致しました。犯人は刃物を振り回す危険な男でした。しかし御社の社員の方が華麗に解決をされ、ワタクシも彼女の様に人助けをしたいと思い中退と云う形に成りました」
「仕事が決まる前に学校を辞めたと」
「はい。其れ程ワタクシは本気です」
「成程、」
就職先も決まっていないのに学校を辞めた、そう少年は告げた。之を本気なんだな、と認めるべきか、其れとも後先を考えない無鉄砲な莫迦だと諭すべきか。福沢は悩んだ。何故なら少年の目が嘘を付いている様に見えなかったからだ。
この子は心から"誰か"の為を思って今此処に居る。
然し、其の"誰か"がどの様な立場に居る人物なのか福沢には判断が出来ず彼を呼ぼうと静かに立ち上がった。
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緑猫(プロフ) - ねこまろ。さん» 修学旅行お疲れ様です!更新された瞬間だなんて嬉しいです!応援もありがとうございます!更新頑張ります! (2018年5月23日 16時) (レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
ねこまろ。(プロフ) - 修学旅行でこの作品から3日も離れていました。悲しいです。いつも更新された瞬間に見に行ってるのに……。あと、猫音からねこまろ。に名前を変えました!名前変えてからも応援し続けますよ!うっとうしいぐらいに、ずっと応援します!更新ファイトです! (2018年5月23日 15時) (レス) id: 4738577f15 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫 - 猫音@底辺さん» そこまで楽しんで頂けていると思うととても嬉しいです!ありがとうございます!!頑張ります! (2018年5月6日 22時) (レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
猫音@底辺(プロフ) - 最近の楽しみがこの小説を読むことです(笑)僕、いつも楽しみにしてるんで、これからも頑張ってください! (2018年5月6日 15時) (レス) id: 4738577f15 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫 - 蒼さん» ありがとうございます!頑張ります!! (2018年5月3日 16時) (レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緑猫 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=92287f70ddf83f82a39ea7c9d0c473c7...
作成日時:2018年4月7日 15時