第２４話 ページ26
第２４話
家に帰って夕飯まで部屋に篭って勉強をし、晩ご飯を食べ終えるとお風呂にはいる。早く焦凍に言わなきゃいけないのに、いざ言うとなると緊張した。
どのタイミングで言えばいいのか分からない。
そもそもこの間のバレンタイン以降、私と焦凍の溝が深まったように思える。一時は話す回数も増えてたのに、また以前の殆ど話さない関係に戻りつつあった。
お風呂から上がり、濡れた髪をタオルで拭きながらキッチンへ向かう。とりあえずお茶でも飲んで落ち着こうかな。
そう思いキッチンに行くと冬美姉さんがいて「あ、お風呂上がったのね」と話しかけてくる。
「冬美姉さん、次入る？」
「私はだいぶ前に入ったよ」
「……じゃあ後は焦凍か」
「多分中庭でトレーニング中だと思うし、部屋に戻るついでに声かけといてあげなよ」
「……………それだ」
そっか、その手があった。
私は冷たいお茶をグイッと飲むと中庭の方へ行く。冬美姉さんの言った通り、中庭でトレーニングをしている焦凍に近づいた。
私の足音に気がついて焦凍が振り向き「…Aか」と小さく呟く。やっぱり少し緊張するけど、とりあえず先に。
「お風呂空いたよ。あと焦凍だけだから」
「……分かった、後で入る」
そう言って背を向ける焦凍に「……それから」と私が続けると、焦凍がゆっくり振り向いた。
言わなきゃ、ちゃんと。
「あの、えっと……クラスの子が明日の昼休憩に屋上へ来て欲しいって、言ってたよ」
「………………」
「……伝言、頼まれて」
焦凍が眉間にシワを寄せるのを見て、これは怒られるパターンだとスグに分かった。シンッ…とする空気が気まづくて「確かに伝えたから…」と背を向ける。
けどやっぱり焦凍に「…おい」と呼び止められ、諦めて振り向いた。
「次、同じことしたら怒るからな」
「え……今は怒ってないの？」
「伝言だけなら別に悪ぃことでもねぇだろ。でも、俺はあんま好きじゃねぇから今回限りにしてくれ」
「……うん」
不機嫌そうな顔で言う焦凍に私は頷いた。怒られなくてよかった、と胸を撫で下ろしながら「じゃあ…おやすみ」と言うと焦凍も「ああ…」と答える。
そっか、嫌だけど悪い事ではないから怒らないのか。そういう所、焦凍は真面目だなぁ。
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冬桜 - 読んでて自分まで胸がｷﾞｭｯてなったりしてすごく面白かった？です！！ (2021年8月6日 23時) (
レス) id: 4ef8003614 (このIDを非表示/違反報告)
黒目。(プロフ) - 小説も絵もめっちゃ好きです！！ (2020年4月17日 1時) (レス) id: 5a29d39680 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - ごめんなさい！随分前の作品みたいですけどスッゴく大好きになりました！このまま読み進めようと思います！挿し絵も大好きです！ (2019年8月15日 18時) (レス) id: a4cdcf90f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠斗 - とどろっちゃん！！！！好きだぁ！ (2018年11月11日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
いう - 頑張ってください。 (2018年11月11日 22時) (レス) id: 170f7a55c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月14日 17時
