第２３話 ページ25
第２３話
翌日、いつも通り焦凍とはバラバラで学校へ行き教室へ入る。自分の席に座り鞄の中から必要な教材等を取り出し机の中に入れていた。
すると「轟さん、ちょっといい？」と聞き覚えのある声がして顔を上げる。
「あのさ、相談があるんだけど」
「……………私に？」
話しかけてきたのは、以前私に焦凍への手紙を託してきた2人組だった。あの時は結局、焦凍から連絡先を聞くことが出来なくて…2人にそれを伝えると心底残念がってたっけ。
今回もまた焦凍絡みかな。
「明日の昼休憩に屋上へ来て、ってお兄さんに伝えといてくれない？」
「え……手紙とかで言えばいいんじゃ」
「だって前の手紙とか返事来なかったし、ちゃんと読んで貰えてるのか分かんないからさ。今回も手紙じゃ読んでもらえないかもしれないし、だから轟さんから直接言ってよ」
そういう、事か。
焦凍は冷たい部分も多いけど、手紙とかはちゃんと受け取ってるし読んでると思うんだけどな。流石に返事まではしないけど。
こういうケースは初めてだから、どうすればいいのか分からない。この場合、焦凍は怒るのかな。何を基準に焦凍が怒るのか分からないから、正直言って受けたくない。
「じゃ、よろしくね！」
「えっ…あ、待っ」
断ろうと思ったのに2人組はそそくさと自分達の席に戻ってしまった。どうしよう、2人の元へ言ってちゃんと断るべき？
でもそれで余計に嫌われたら…。それに、ただの伝言だから焦凍も怒らないかもしれない。
独りで居るのがマシだと分かってはいても、やっぱり他人に拒絶されるのが怖い。これ以上嫌われたくない。そんな思いがぐるぐると頭を巡る。
ああ、私って本当に臆病だな。
誰からの愛情もいらない、必要とされたくない。そう思ったのにまだ怖がってるなんて。きっと心のどこかで願ってるんだ。
誰か私を必要として。誰でもいいから友達になって。私を独りにしないで…って。
どんな理由でも頼られた事が嬉しくて、期待してしまって、断るのがどうしても怖い。
「席につけ〜、ホームルーム始めるぞ」
「っ………」
先生が教室に入ってきて私はハッとする。クラスの皆もぞろぞろと自分の席につき、私は小さく溜息を吐いた。
結局、断りに行けなかったな。
なんて思ってしまう。休憩時間はまだまだあるんだから、断る時間なんていくらでもあったのに。
都合の良い理由を見つけて、私はまた逃げている。
．
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冬桜 - 読んでて自分まで胸がｷﾞｭｯてなったりしてすごく面白かった？です！！ (2021年8月6日 23時) (
レス) id: 4ef8003614 (このIDを非表示/違反報告)
黒目。(プロフ) - 小説も絵もめっちゃ好きです！！ (2020年4月17日 1時) (レス) id: 5a29d39680 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - ごめんなさい！随分前の作品みたいですけどスッゴく大好きになりました！このまま読み進めようと思います！挿し絵も大好きです！ (2019年8月15日 18時) (レス) id: a4cdcf90f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠斗 - とどろっちゃん！！！！好きだぁ！ (2018年11月11日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
いう - 頑張ってください。 (2018年11月11日 22時) (レス) id: 170f7a55c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月14日 17時
