第１５話 ページ17
第１５話
思ったよりもハッキリとした受け答えをする焦凍に少し安心しつつ、冬美姉さんが仕事で居ないから私が色々任された事とお粥を持ってきた事を伝えた。
焦凍の頬は熱のせいでほんのり赤くて、目が涙目になってる。レアな焦凍だ…なんて私が言ったら本人に怒られそうだから言わないけど。
「とりあえず、起きたならお粥食べる？」
「…ああ、食べる」
焦凍はゆっくりと体を起こしお粥に手を伸ばす。私はどうしよう、このままココに居るのは大変気まずい。
流石にもう出ていこう、と思い立ち上がろうとする私に「…おい」と焦凍が声をかける。
「どこに行くつもりだ」
「どこって…自分の部屋だけど」
「俺の面倒を頼まれたんだろ」
「いや、付きっきりで看病する必要ないし」
「お前な…誕生日くらい兄に優しくしようとか思わねぇのか」
「私のこと妹として見てない癖に、こういう時だけ兄貴ヅラするのどうかと思うよ」
「……可愛くねぇ妹だな」
「そんなに毒吐けるほど元気なら尚更付きっきりで看病する必要はなさそうだね。お兄ちゃんが元気そうでなによりです」
言葉のキャッチボールが止まり、私と焦凍が無言で睨み合う。数秒睨み合ったが結局先に目を逸らしたのは私の方で、短く溜息を吐きながら座り直した。
「…………私が居たら嫌でしょ」
「それは俺が決めることだ」
「焦凍って時々意味わかんないよね」
嫌いなら出ていけって言うのが普通じゃないの？
ああそっか、嫌いだから私を困らせたいのか。焦凍は私やお父さんの事となると意地悪っていうか、ドＳになるから。
何事もなかったかのようにお粥を食べる焦凍を横目で見ながら、心の中でもう一度溜息を吐く。
「……それで、体調は？」
「最悪だな、でも寝てたら治るだろ」
やっぱり熱が高いのかな。そう思い焦凍の額に触れてみようと手を伸ばすと、焦凍が私の手をパシッと掴む。
「………何だ急に」
「え、熱どれくらいかなって思って…」
「そういう時は手より先に口を動かせ」
焦凍は呆れたように言いながら私の手を引っ張り自分の額に触れさせた。てっきり触ろうとした事を怒られるのかと思ったけど、別にそれはいいのか。
本当に焦凍って時々分からない。
それにしても…
「……結構、熱いね」
「最悪だって言っただろ」
「話してる感じだと普通なのに」
「無理してるからな」
何故、無理をする必要がある。
本当に焦凍って分からないなぁ…。
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冬桜 - 読んでて自分まで胸がｷﾞｭｯてなったりしてすごく面白かった？です！！ (2021年8月6日 23時) (
レス) id: 4ef8003614 (このIDを非表示/違反報告)
黒目。(プロフ) - 小説も絵もめっちゃ好きです！！ (2020年4月17日 1時) (レス) id: 5a29d39680 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - ごめんなさい！随分前の作品みたいですけどスッゴく大好きになりました！このまま読み進めようと思います！挿し絵も大好きです！ (2019年8月15日 18時) (レス) id: a4cdcf90f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠斗 - とどろっちゃん！！！！好きだぁ！ (2018年11月11日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
いう - 頑張ってください。 (2018年11月11日 22時) (レス) id: 170f7a55c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月14日 17時
