第１４話 ページ16
第１４話
あれから1ヶ月以上も経つのに、私はまだ気持ち的に立ち直れないでいた。短い間だったけど、それだけ楽しい時間を過ごせたしショックな出来事だったということだ。
それと、焦凍が少し変わったように思える。相変わらず冷たいけど、前よりも私と話す回数が増えた。
理由は分からないけど、あの時焦凍が一瞬だけ見せた微笑みは私も忘れられない。だって初めて、焦凍があんな風に笑ったのを見たのだから。
…焦凍は、ああやって笑うんだね。
年も明け冬休みも終わった週末の1月11日。今日は焦凍の誕生日…だというのに、主役である焦凍は熱で寝込んでいるらしい。
朝起きて冬美姉さんに「焦凍熱出しちゃったんだけど、私今日は仕事だから焦凍の面倒見てあげてくれる？」と頼まれた。
いや、焦凍は私に面倒みられるの嫌がりそう。
「………かといって放っておく訳にもいかないし」
私は冬美姉さんが仕事に行く前に作っておいたお粥を持って、焦凍の部屋の前にいる。こうやって焦凍の部屋に来るのはいつぶりだろうか。
少し緊張してしまい、ゆっくりと深呼吸をして口を開いた。
「……焦凍、お粥持ってきたんだけど」
声をかけてみるが返事が帰ってこない。悩んだ末「…入るよ？」と言って恐る恐る開けてみる。
焦凍は布団をすっぽりと被り規則正しい寝息をたてて寝ていた。起こさないようにゆっくり近づきテーブルにお粥を置く。
「……ん…」
「っ……！？」
別にやましい事をしてる訳じゃないのに、焦凍が寝返りうつ音で私の心臓がドキリと跳ねる。なんか心臓に悪いなぁ。
寝返りうったことで頭まですっぽりと被っていた布団がズレて、焦凍の寝顔が見える。熱が高いのか少し眉間にシワが寄っていて苦しそうだ。
それにしても、焦凍の顔をこんなにじっと見たのは初めてかもしれない。普通だったら数秒しか目を合わせられないから、私はスグに顔を逸らしてしまう。
「……………はぁ」
お粥は置いておいたから、起きたら勝手に食べるだろう。これ以上長居して焦凍が起きたら気まずい。
早めに出ていこ…
「………A？」
ああほら、起きちゃった。
先輩との出会いもそうだけど、なんで私の考える事って実現しちゃうんだろう。
どうしよう、とりあえず…
「えっと、あの……誕生日おめでとう」
「第一声がそれか」
「ごめん…起こして」
「そうだな、そっちが正しい」
．
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冬桜 - 読んでて自分まで胸がｷﾞｭｯてなったりしてすごく面白かった？です！！ (2021年8月6日 23時) (
レス) id: 4ef8003614 (このIDを非表示/違反報告)
黒目。(プロフ) - 小説も絵もめっちゃ好きです！！ (2020年4月17日 1時) (レス) id: 5a29d39680 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - ごめんなさい！随分前の作品みたいですけどスッゴく大好きになりました！このまま読み進めようと思います！挿し絵も大好きです！ (2019年8月15日 18時) (レス) id: a4cdcf90f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠斗 - とどろっちゃん！！！！好きだぁ！ (2018年11月11日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
いう - 頑張ってください。 (2018年11月11日 22時) (レス) id: 170f7a55c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月14日 17時
