第７０話 ページ30
第７０話
「そう言えば…」と口を開く焦凍さんに小首を傾げながら、私は荷物を適当におろして焦凍さんの隣に座る。そして焦凍さんは机の上に一冊の雑誌を置いた。
これ、私がさっきコンビニで見てた雑誌だ。
「雑誌本社から送られてきた」
「あ…焦凍さん表紙ですしね」
「お前も載ってたぞ」
そう言ってパラパラと私のページを探す焦凍さんから、私は慌てて雑誌を奪い取る。そんなわざわざ開かれると、なんか恥ずかしい。
「だ、大丈夫です…知ってますから」
「そうなのか、いい感じに撮れてたな」
やっぱり焦凍さんも見たのか。
写真なんて撮ってもらうんじゃなかった。
「ぁ、の…私のページだけ破り捨てときますね」
「なんでだ？」
「や、だって…平凡な私なんかが変に着飾って撮った写真なんて、お見苦しいので」
声がだんだんと小さくなっていくにつれ、私の顔も徐々に下を向いていく。これは自虐でもなんでもない。普通に恥ずかしいだけ。
どうしてか…焦凍さんに見られるのが一番恥ずかしい。焦凍さんはモデル顔負けの華やかさがあるけど、やっぱり私にはないわけだし。
そう思っている私の頬に、そっと焦凍さんが手を添えた。
「何言ってんだ、すげぇ綺麗だったのに」
「……へっ、ぇ？」
思わず間抜けな声が出てしまった。
何を言ってるんだろう。ポカンとしてしまう私の頬を撫でながら「まあ、でも…」と焦凍さんは続ける。
「やっぱり写真なんかより実物の方がいいな。だってお前の一番綺麗な所は、写真じゃ分からねぇ所だ。見た目よりも…もっと大事な部分、だと思う」
「しょ、ぅと…さん？」
「だからお前は何も見苦しくねぇ」
ぎゅうっと、胸が締め付けられる。
私が胸元を押さえると焦凍さんは「どうした？どっか痛てぇのか？」と心配そうに私の顔をのぞき込んだ。心配してくれる焦凍さんには申し訳ないけど、思わず頬が緩んでしまう。
「大丈夫です、ちょっと胸が痛いだけで…」
「それ大丈夫じゃねぇだろ、何なら病院行こう」
「ぁ…いや、そうじゃなくて」
えっと…、と続けながら私は少し恥ずかしさで顔を赤くし苦笑いをした。
「焦凍さんって本当に、凄くて、カッコイイ人だなって…思ったんです」
「…！」
焦凍さんは何故か一瞬固まり「…そう、か」と言うと私の頭を少し乱暴に撫でたあと「飯作ってくる」とキッチンに行ってしまった。
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風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
