第６８話 ページ28
第６８話
「じゃあ一旦休憩で〜す！」
「お疲れ様、轟くん」
「本当に…疲れるな、これ」
僕の元へ来るなり椅子に座って項垂れる轟くんに苦笑いが零れる。昔から前に出て目立つような事するの苦手だからなぁ、轟くんって。
全然モデル顔負けでカッコイイよ、なんて本音を言った所で轟くんは喜ばないだろう。
「そういや、Aは？」
「さっき女性スタッフさんにどこかへ連れて行かれてたけど…心配だから着いて行こうとしたら、女性スタッフさんに男は来ちゃダメって言われて」
「……なんだそれ」
まあ気の良さそうな人だったから、多分変な事じゃないとは思う。Aちゃんは終始困惑してて、されるがままに連れ去られてたけど。
「………はぁ、A居ねぇのか」
「何かAちゃんに用事でもあったの？」
僕がそう聞くと轟くんは少し間を開け「…いや」と少し寂しそうな顔をしながら口を開く。
「疲れたから、側にいて欲しかっただけだ」
う、わっ…ぁ。
轟くんは無意識なんだろうけど、その言葉は世間の女の子が聞いたらイチコロなんだろうなぁ。普段なら絶対見せないような、寂しそうな顔でその言葉はなんかズルい。
男の僕でも聞いてて恥ずかしくなる。
Aちゃんと轟くんって、そんなに仲良くなってたんだ。普通の家族よりも情が深そうに見えるのは…僕だけかな。
その時、なにやらキャッキャと騒ぐ声が聞こえた。なんだろうと視線をそちらへ向けると、何故か人が集まっている。
でもよく見てみると、人集りの中心に居たのは…
「…………Aちゃん？」
肩から鎖骨にかけて露出してる少しフワッとした赤いドレスを着ていて、髪は後ろだけアップにいている。顔も少しメイクをしているからか、いつもより大人っぽい。
そこまで仰天チェンジした訳じゃないけど、普段の彼女しか見ていない僕から見たら、綺麗になったAちゃんが良くわかる。
「わあっ、Aちゃん綺麗だね！」
そう言いながら轟くんを見ると、轟くんは目を丸々と見開いていた。その視線の先はAちゃんしかいなくて、轟くんはゆっくりと口を開く。
「…………ああ、本当に……綺麗だ」
あまりにも小さく呟かれた言葉は、僕にしか届いてない。家族のようなAちゃんの変身ぶりに驚いているんだろう。
けど、轟くんのその顔は…
Aちゃんの保護者の顔じゃない
もっと何か、別の顔に見えた。
．
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風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
