第５３話 ページ13
第５３話
それから直ぐに警察が駆けつけてきて、先生は警察に引き渡された。私も警察に事情聴取をされ素直に話すと警察は「じゃあとりあえず親御さんに迎えに来てもらいんだけど、番号分かるかい？」と聞いてくる。
こういう時は焦凍さんでいいのかな。でも、いつも電話帳からかけてたから番号なんて覚えてない。
どうしようかと迷っていると、爆豪さんが「プロヒーローのショートに連絡しろ」と警察に言う。そっか、有名なヒーローなんだからそういう言い方をすればいいのか。
というか…
「爆豪さん、私のこと思い出したんですね」
「可愛げのねぇガキだったから覚えてただけだ。にしてもてめぇ、本当にあの時と同じガキか？」
「え…？」
「前と雰囲気違ぇだろ」
どういう意味だろう。いい意味で変わったのだとしたら、それはきっと…いや間違いなく焦凍さんのおかげだ。
暫くして私の元に「A…！」と慌てた様子で駆け寄ってくる焦凍さんの姿が見えた。別に何日も会えなかった訳じゃない、数時間前には電話で声も聞いていたのに。
なのに、焦凍さんの姿を見るのが何だか久しぶりな気がして思わず体の力が抜けてしまう。もしかしてずっと緊張状態だったのが、焦凍さんを目の前に安心してしまったのかな。
フラッ…とする私の体を焦凍さんが勢いよく抱き締める。相変わらず暖かくて胸がじんわりするけど、今の焦凍さんは少し余裕がなさそうだった。
「……よかった、本当に」
「あの…すみません。ご心配おかけしました」
「謝らなくていい」
でも、と焦凍さんは続ける。
「正直もう駄目かと思った。お前は生きる事に執着してねぇし、助けを求める事もしねぇだろうから。もし自分が死ぬって状況になったら、その状況をすんなり受け入れそうで…」
ああ、そっか。
確かに言われてみれば、私はそう言う人間だったな。だから焦凍さんと初めて会った公園で私は自分が大変な目にあっていているのに、目が合った焦凍さんに助けを求めなかった。
なら今はどうだろう。
「……焦凍さん、私、抗ったんです」
確かに助けこそ求めなかったが、私は先生から逃げようと抗った。爆豪さんに賭けてみようなんて普段は思わない事を考えた。
「生きる事を…諦めませんでした」
そう思えたのは、焦凍さんと出会ったからだ。
なにより…
「あなたの元へ帰りたいと、思ったから」
そう言いながら、
私は焦凍さんの背中に腕を回した。
．
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風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
