第５２話 ページ12
第５２話
「…爆豪さんっ！！！」
飛び降りながら、春に会って以来の爆豪さんに向かってそう叫ぶ。彼は頭上からいきなり声がしたから「は？」という顔で見上げて直ぐにギョッとした。
私があの場から逃げ切るにはこれしかなかったのだ。一瞬の迷いが運命を左右する中、私は飛び降りた先で爆豪さんが受け止めてくれることに賭けた。
地面が近付きギュッと目を瞑り衝撃に備えるが、私の体は地面に叩きつけられる事なく受け止められる。ホッと胸を撫で下ろしながらゆっくり目を開けると、爆豪さんの鋭い目が私を見ていた。
「てめぇ何してんだ死にてぇのかクソが！！」
「……流石、ヒーローですね」
「はあ！？何言ってんだ死ね！！」
え、助けられたのに死ねって…。
もし下に居た人物が爆豪さんではなく一般人だったら、私が飛び降りる事はなかっただろう。
一般人が落下してくる人間をそう簡単に受け止められる筈がない。下手をすれば私が一般人を下敷きにして大怪我を負わせてしまったり、ぶつかり所が悪ければ首を折って相手が死ぬかもしれない。
下敷きにしなかったとしても、目の前で人間が地面に叩きつけられ血を吹き出して死ぬ姿を見ればトラウマになるだろう。
だから私は、ヒーローである爆豪さんに賭けたのだ。
「……あなたに賭けて、よかったです」
「ああ！？っていうかてめぇ、どっかで見たことあるガキだな…」
「あ、春に焦凍さんと一緒に…」
って、こんな悠長に話している場合じゃなかった。私はザックリと事情を説明し、このビルに連続誘拐事件の犯人がいると言うと爆豪さんは真面目な顔で聞いていた。
そして私を地面に下ろした爆豪さんは「それで警察に連絡しとけ」と私に自分の携帯を投げつける。慌てて受け取りながら「え、爆豪さんは…？」と問うと彼は不敵な笑みを浮かべた。
「決まってんだろ、仕事の時間だ」
そう言いながら爆豪さんはビルの中へ入っていく。恐らく先生を取り押さえに行ったんだろう、数分もしないうちにビルの中から爆発音が聞こえる。
私が急いで警察に連絡し事情を説明していると、電話を終えて切る頃には爆豪さんがボロボロの先生を引きずりながら戻ってきた。
「……凄いですね、こんなにあっさりと」
「たりめぇだ、雑魚相手に手間取る訳ねぇだろ」
私にとっては絶体絶命だったのに、ヒーローである彼からしたら雑魚になるのか。
本当に、凄い人だな。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1322人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
