第５１話 ページ11
第５１話
「………死ぬ」
私は、死ぬんだろうか。
ポツリと呟いた言葉は意図も簡単に消えていく。私はここであっさりと死んでいくのかな。
こんな事になるなら、焦凍さんとの電話の時点で気がつくべきだった。こんな事になるなら、今日学校へ行かなければよかった。こんな事になるなら、もっと色んなことをして生きればよかった。
こんな事になるなら、あの人にもっと『ありがとう』って言っておけばよかった。
「………焦凍さん」
いま、焦凍さんはどこにいるんだろう。
そんな事を思い、ふと部屋を見渡す。電気が着いたおかげで部屋の隅々まで分かる。何度見ても悪趣味なコレクション。
そして私の視線はある場所で止まった。赤いカーテンがつけられた大きな窓。ゴクリと唾を飲み込み恐る恐る近づき、カーテンを捲ってみる。
「………外」
窓の向こう側はベランダだった。暗い曇り空のせいで月は見えないけど、夜ってことだ。なるべく物音をたてないように窓の鍵を開けて外に出てみる。
なんで、こんなに簡単に出られるなんて。ここから逃げられるかもって思わなかったのかな。だが、そんな私の疑問は直ぐに晴れた。
ベランダの下を除くと地面は遠く離れていて、とてもじゃないが飛び降りて助かる高さじゃない。どうやらここは細長いビルのようで、私が居るのは15階くらいだろうか。
マンションだったら隣のベランダに逃げて助けを求める事も出来たのに。窓があっさりと空くことを許しているのは、例えベランダに出たとて助からないと先生には確信があったからだ。
……やっぱり、ダメなのかな。
半ば諦め気味にもう一度ベランダの下を覗き込む。すると、そこには見覚えのある人影が。
あの人って確か…。
「よお、待たせたな……ってお前！！」
「っ！？」
手元に鋭い刃物を持った先生が部屋に戻ってきて、私がベランダに居ることに気が付きハッとする。このままじゃ殺される。
死ぬの…？
飛び降りたとしても、助かる可能性は…。
いいや、迷ってる暇なんてない。
慌てて私の元へ駆け寄ってくる先生に背を向け、私はベランダから身を乗り出した。
……私は、焦凍さんの元へ帰りたい。
だから今は
“あなた”に賭ける。
私は飛び降りながら、下に居た人物の名を呼んだ。
．
．
．
「────…爆豪さんっ！！！」
．
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風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
