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さんじゅうきゅう ページ40

サーブ権が烏野へと渡ると、Aは再び金田一と入れ替わるようにしてコートを後にした。
試合開始前と同様に監督とほんの数言話した後、ジャージに腕を通しながら菅原が待つ壁際へと戻ってくる。
そんなAに向かって労いの言葉をかけるもAは菅原の声に反応する様子はなく、胸の辺りで腕を組み、右手で口元を隠すようにしながらブツブツと何かを呟いていた。
その言葉の節々から聞こえてくるのは、"影山"や"10番"といった単語。
たった1回目の当たりにしただけのはずの速攻について考えているのは明らかで、菅原はAの思考が一区切り着くまで待つことに。
菅原がAを待っている間にどんどん試合は進んでいき、Aの復活を目の当たりにしたことで火がついたらしい青葉城西が第2セットを獲得した。
そうして第3セットに突入した頃、Aはハッと顔を上げて得点板へと視線を向けた。
その得点板を見て、Aはすっと目を細める。



「…」
「凄かったな、サーブ」
「!あ、ありがとう」



集中が途切れた頃を見計らってかけた声はAに届いたようで、Aは目を瞬かせながら照れ笑いをする。
つい先程までサーブで3点を稼ぎたった1回の速攻を分析していたとは思えない表情に、菅原は毒牙を抜かれたような気持ちになった。



「…えっと」
「影山に言っといてよ、見せてくれてありがとうって」
「え?」



なんと声をかけようか、と考えながら口を開いた菅原の言葉を遮るように、Aはそう言って笑った。
見せてくれてありがとう、とはなんの事か。
菅原はじっとAを見つめ返すと、Aはゆっくり影山へと視線を移す。



「次は、止める」
「!」
「あいつに対する恩返しは、バレーで返すつもりなんだ
悪いけど、春高はウチが本選に行かせてもらう」



これが最初で最後だから と呟くA。
その目は柔らかくも真剣で、菅原はAの春高にかける思いの強さを目の当たりにしたような心地になった。
最後なのは菅原だって同じ。
だが最初では無い。
Aと同じ思いを春高にかけることはない。



「でも、俺たちだって負けない」
「…あぁ、楽しみにしてる」

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ゆき(プロフ) - 赤憑さん» うわー!ありがとうございます!直しときます!!! (2023年4月28日 17時) (レス) id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
赤憑(プロフ) - 面白い作品ですね!ところで…あの...ろく影山sideの話のところの西谷の漢字が西ノ谷になってます💦 (2023年4月28日 13時) (レス) @page7 id: 805737b448 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 天野さん» ずっと!?ありがとうございます!!今度は最後まで書き切りたいと思ってるので気長にお付き合いくださいませ!!! (2023年3月29日 10時) (レス) @page26 id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
天野(プロフ) - 更新ずっと待ってました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!! (2023年3月29日 8時) (レス) id: c3ca8d9a5e (このIDを非表示/違反報告)
八雲 - すっごい大好きです頑張って下さい!!!!!!!!!! (2021年8月22日 0時) (レス) id: 34dfb00aa4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2021年5月21日 18時

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