さんじゅうろく ページ37
両校ともアップを取り終わり、ついに始まった練習試合。
奇しくもスターティングメンバーはインターハイと全く同じ顔ぶれで、それどころか当時と異なるのはAがジャージを羽織ってベンチのそばに居ることぐらいだろう。
試合が始まっても尚烏野から好奇の眼差しを浴びているAは監督と一言交わすとすぐにベンチを離れてコート外で軽い練習を再開した。
練習、と言ってもボールと戯れている程度。
少しでもボールに触れて勘を取り戻し、あわよくばかつての自分よりも繊細なボール捌きを身につけたい。そんな思いがあっての行動だった。
そんなAへ歩み寄る青年が1人。
自分の元へ向かってくる存在に気づいたAがボールからその青年へ視線を向けると、青年は爽やかな笑顔を浮かべながら手を上げる。
「初めまして！俺は烏野の菅原、よろしく」
「！どうも、網張です」
「影山から聞いたよ。大変だったんだな」
「あぁ、うん。でも影山のおかげで過去のことになったよ」
Aはなんてことないように話しながら、コート内で向き合っている両校のセッターを見つめた。
第1セットにしてかなり拮抗した戦いを見せているこの試合。
その中心とも言えるセッターを担う2人は今日も互いに意識し合っているのか睨み合っている。
Aと菅原はその様子を見て苦笑いを見せ、Aは手元のボールへ再び視線を落とし、菅原はそのまま試合を見続けた。
「そうだ！影山と及川ってさぁ」
「ん？」
中学の頃からずっとあんななの？なんて興味津々な目をしながら問いかけてくる菅原に、Aは記憶を辿るように視線を宙へ彷徨わせる。
そうしてAから明かされていく中学の頃の2人の話は弾み、第2セットに入っても尚Aと菅原はそのまま談笑しながら試合を見守っていた。
そんな2人の前で行われていた試合。第1セットを取った青城に流れが行くかと思われたが、今度は烏野に火がつきかなりのリードを見せた。
そのリードが5点へと到達すると、青城は流れをきるようにタイムアウトをとる。
その笛の音を聞いたAはぴくりと肩を揺らしたかと思えば、そっと青城ベンチへと歩き始めた。
突然動き出したAに驚いた菅原がじっと見つめていると、その視線に気づいたらしいAは菅原を振り返る。
そのAの口から声こそ発されることはなかったが、確かに言葉を紡いでいた。
いってくる、と。
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ゆき(プロフ) - 赤憑さん» うわー！ありがとうございます！直しときます！！！ (2023年4月28日 17時) (
レス) id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
赤憑(プロフ) - 面白い作品ですね！ところで…あの...ろく影山sideの話のところの西谷の漢字が西ノ谷になってます💦 (2023年4月28日 13時) (レス) @page7 id: 805737b448 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 天野さん» ずっと！？ありがとうございます！！今度は最後まで書き切りたいと思ってるので気長にお付き合いくださいませ！！！ (2023年3月29日 10時) (レス) @page26 id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
天野(プロフ) - 更新ずっと待ってました！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ありがとうございます！！！！！！！！！！！！！！ (2023年3月29日 8時) (レス) id: c3ca8d9a5e (このIDを非表示/違反報告)
八雲 - すっごい大好きです頑張って下さい!!!!!!!!!! (2021年8月22日 0時) (レス) id: 34dfb00aa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2021年5月21日 18時
