にじゅうはち ページ29
活気溢れる放課後の体育館。
インターハイで予選敗退したとはいえ、青葉城西に休む暇はなかった。
インターハイがダメなら次に向けて駆け出すのみ。
全国に進んだ白鳥沢より早くスタートを切れることを好機に思うべきだとよく知っているのだ。
ずらりと揃ったいつも通りの顔ぶれを見渡した及川は、強い闘志を灯した瞳で力強く頷く。
思うことはおなじ。
さらに強くならなければ、と活動開始の声掛けをするべく息を吸ったその時のことだった。
「しゃーす」
キュ、とシューズの擦れる音ともに現れたのは、インターハイ直前以降顔を合わせていなかったAだった。
見慣れた練習着に身を包んだAが青葉城西バレー部の集団に気づくと、自身に集中する視線に苦笑いを浮かべながらゆっくりと歩み寄ってくる。
「A、なんで、まだ時間じゃ……」
まだみんながいるのに、と及川が焦りと心配の籠った目でAを見つめる。
岩泉も言葉こそ発しないが同じような目をしていて、Aを知る他の部員たちは2人とは違う期待の籠った眼差しを向ける。
そうだ。
この視線を浴びさせないために、向けさせないために部活後に来させていたのに、とさらに焦り始める及川の前に来たAは、優しく微笑んでみせる。
「ねぇ、及川」
「な、なに…？」
「俺も、出ていいかな」
「え…」
「春高。俺も一緒に戦わせてくれる？」
しん、と静まり返る体育館。
及川や岩泉よりも先に言葉を理解したのであろう部員はすぐにざわつき始める。
そのざわめきは少しずつ広まっていき、ようやくAの言葉を理解した岩泉は答えを促すように及川の背中を叩き、その勢いでふらついた及川はその勢いのままAを抱きしめた。
「っもちろん！！」
「…何？泣いてんの？」
Aの問いに答えるようにぎゅ、と抱きしめる力が強くなる。
そんな及川の頭を慰めるように優しく叩くと、その背後から国見が様々な感情を堪えたような表情で見つめていた。
この状況からして、あの時目が合ったことを黙っていてくれたのだろう。
感謝の気持ちも込めて笑いかければ、国見は頬に籠っていた力を抜いてじっとAの目を見つめた。
「おかえりなさい、でいいんですよね」
「…あぁ、ただいま、みんな」
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ゆき(プロフ) - 赤憑さん» うわー！ありがとうございます！直しときます！！！ (2023年4月28日 17時) (
レス) id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
赤憑(プロフ) - 面白い作品ですね！ところで…あの...ろく影山sideの話のところの西谷の漢字が西ノ谷になってます💦 (2023年4月28日 13時) (レス) @page7 id: 805737b448 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 天野さん» ずっと！？ありがとうございます！！今度は最後まで書き切りたいと思ってるので気長にお付き合いくださいませ！！！ (2023年3月29日 10時) (レス) @page26 id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
天野(プロフ) - 更新ずっと待ってました！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ありがとうございます！！！！！！！！！！！！！！ (2023年3月29日 8時) (レス) id: c3ca8d9a5e (このIDを非表示/違反報告)
八雲 - すっごい大好きです頑張って下さい!!!!!!!!!! (2021年8月22日 0時) (レス) id: 34dfb00aa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2021年5月21日 18時
