眠りにつく時 -沖田総悟- (ページ14)

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土「眠れねえか。
すまねえな。部屋用意出来なくて。」

「私は寝ないので。大丈夫です。」

土「寝ない？」

「鬼は、太陽さえ昇れば寝ずとも起きていけます。」

土「ずっと一睡もせずにいたのか？」

立っていた副長さんも縁側に座りタバコに火をつけた。

「はい。10歳からくらいですけどね。」

副長さんが私を見る目は鋭くなくなっている。
そんなに尖った怖い人じゃないんだ。

土「他の奴らも？」

「兄以外の陽鬼を知らないのでわかりません。」

土「…そうか。ここは両親揃って立派に育てられたなんてロクな奴そういねえ、ろくでなしの吹き溜まりだ。
総悟も俺もそうだ。

総悟はきっとあんたを他人に思えないんだろうよ。」

月が隠れたり出てきたりする度に、暗転を繰り返す。

隠れ生きてきたせいで人の温かさが懐かしい。

「私に何か出来る事はないですか。」

土「そうだな。ぶっきらぼうだろうが、らしくねえあいつなりの不器用してやがる。
受け止めてやってくれ。」

何も言えず口を結ぶ。

満月はとても明るく照らして、今までこんなに優しい光を見た事あったかな。

土「戻る前に涙拭いとけ。屯所の朝は早ぇえからな、しっかり寝とけ。」

ああ、どうしてこんなにも温かいんだろう。

頬に温かい涙が次々伝った。