絶賛、アプローチされ中。3【千切豹馬】

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｢はい、ここはもっと＿＿｣


アナリストにとって分析し足りない、ということはありえない。


分析すればするほど情報は更新されていくからだ。


｢そこは＿＿｣


私が海外の一部リーグで働けている理由は90%の運と10%の努力だろう。


運とは人のツテ。


専門学校ではなくサッカー強豪校の大学を選んだ。


そこの監督が、とあるJチームの監督とのツテがあり就職が決定。


そのチームには海外リーグで活躍した先輩がいて、アナリストとしての技術から些細なことまで学ばせてもらった。


今のチームに来れたのは、先輩の人脈のおかげと言っても過言じゃない。


そして、努力とは文字通りだ。


暇さえあれば動画を観ては分析、観ては分析の繰り返し。


他にも日常会話、海外選手とのコミュニケーションが図れるよう英語を学んだ。


最初から順調だったわけじゃない。


女だということもあってか、最初はなめられまくった。


それはそれは悔しくてたまらなかった。


だから、実力で黙らせた。


それが一番手っ取り早く、私に一番向いていたから。


｢＿＿ありがとう、A。明日も頼りにしている｣


｢もちろんです。それじゃあ、失礼します｣


クラブハウスから車を走らせて約1時間。


やっと見慣れてきた高級住宅が私達の家。


｢ただいまぁ｣


今日も一日よく頑張った、私。


コートだけ脱いでリビングのソファに沈んでいると、バスルームの方からゆったりした足音が近づいてくる。


｢おー、おかえり。さっき帰ってきた？｣


大きな手が頭を撫でると、ふわりとシャンプーの匂いがした。

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