絶賛、アプローチされ中。3【千切豹馬】

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｢他は？｣


｢そんな焦りなさんな｣


前髪を5ミリ切ったこと、リップを変えたこと、黒猫は相変わらず元気なこと。


他に何かあったかな。


｢あ｣


｢お、なんか思い出した？｣


｢ご報告があります｣


｢動画のタイトル？｣


｢茶化すな｣


彼に体ごと向けて正座をする。


言ってみ、と優しく催促してくれる豹馬に言う。


｢私ね、アナリストになろうと思うんだ｣


改めて自分の夢を人に話すのには少し緊張した。


だけど豹馬は驚くこともなく、いいじゃん、それだけ言って笑ってくれた。


｢豹馬が東京行ってから考えて、やっぱりスポーツが好きだって｣


｢…プレイヤー側への未練は吹っ切れた？｣


｢それは、この先もないと思う…だけど、過去を言い訳にするのはもったいないでしょ｣


事故を言い訳に、自分の気持ちを誤魔化すの私はもういない。


どんな形でも好きなことに関われるのは楽しいと気づけた。


それは豹馬や桃、家族、周りの人達のおかげ。


｢いつか豹馬と同じチームで働くかもね｣


｢…アナリストって、サッカーの！？｣


｢あれ、言わなかった？｣


｢言ってねーよ｣


驚いた様子の豹馬に落ち着きなよと猫を勧める。


｢色んなスポーツ見漁って、一番興味が湧いたのがサッカーだったの。新境地開拓しちゃった｣


いえい、とＶサインを作る。


｢今は独学だけど…昨日の試合もホテルでまとめたんだ｣


パソコンから同期したデータがスマホにもあるので彼に見せる。


難しいけれどこれが意外と楽しい。


始めたら時間を忘れてしまい、昨日も日付が変わるまでやっていた。


｢よくできてるよ…うん、すごいな、お前｣


｢まだ高校生だし、また夢が変わるきっかけがあるかもしれないけどね｣


そうなったとしても、またスポーツに関わる夢を選んでいたら幸せだなと思う。


私にしかできないことで、私なりの世界一を目指したい。

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