絶賛、アプローチされ中。3【千切豹馬】

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カーテンの隙間から入り込んだ光で目が覚めた。


スマホで時間を確認するとアラームが鳴る10分前。


気持ちよく起きれたし、今日はいいことがありそうだ。


洗顔と軽いストレッチを済ませたら朝食作りに取り掛かる。


｢…ん？なんか忘れてる気がする…｣


はた、と卵を焼く手を止めて考えると、案外すぐに答えは見つかった。


そうだ、昨日豹馬が何かを言おうとしてやめて、明日、つまり今日になれば教えると言っていた。


＿＿何言われるんだろ。


クルクルと卵を回しながら豹馬が起きてくるのを今か今かと待ち侘びる。


｢ふぁ…はよ……｣


ちょうど朝食が全品出揃ったところで豹馬が起きてきた。


｢おはよ。早く顔洗っておいで｣


｢ん…｣


肯定と取れる返答をしておいて、豹馬の足が向かったのはラバトリーではない。


｢ぐぇ…え、なに、退行？｣


私を覆い被さるようにして抱き締められた。


身長差のせいで私の頭に豹馬の顎が乗せられている、普通に重いのでやめて頂きたい。


｢A｣


｢…なに｣


｢てれてる｣


｢……付き合いたてのカップルじゃあるまいし、反応に困る｣


すると私の体は器用に回転させられて、起きたてでも綺麗な豹馬の顔を間近で見ることになった。


無言でじっと見つめてくる豹馬のせいで顔が熱くなっていく。


逸らしたくても、その視線が逸らすことを許してくれない。


｢朝から可愛いな、Aは｣


極めつけにはそんなことを言ってくる。


｢うっ、るさい…なんなの、いつにも増して変だよ｣


｢変でいいから勝率上げてんの｣


勝率…？


私は勝利の女神でもなければ本日対戦するチームのアナリストなんですが。


｢試合なら私に祈ったって無駄だよ、なんせ優勝がかかってるんだから｣


｢そっちは心配ねぇよ、ちゃんとうちが勝つし｣


｢なに、喧嘩する？｣


｢勝率下がるからダメ｣


｢もう朝からなんなのほんと｣

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