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たった3文字のその言葉で、驚くほど心臓が跳ねた。
「....な、なんで?そんないきなり…」
『別れるっつっても一時的な話。俺の存在が重荷になってるなら、それもありかなって』
重荷だなんて、そんなこと。
むしろ豹馬にそんなことを考えさせてしまった私が提案すべきだ。
「ごめん、私の方が豹馬に余計な心配かけないようにしなきゃいけなかったのに...」
それがサッカー選手"千切豹馬"の恋人としての責務だから。
豹馬のことを思った発言だったはずが、逆に豹馬の神経を逆撫でしてしまった。
『だからソレだって。なんで俺の方が優位な存在みたいになってんの?』
「優位とかそんなつもりは」
『今Aが頑張ってるのは分かるよ。だけど、その努力が俺と付き合ってるせいで義務になるのは嫌なの、分かる?』
義務...…確かにそうだ。
今の私は夢を叶えるために頑張っていない。
豹馬に勝手に劣等感を感じて、彼に相応しくなるための手段に成り下がっていた。
『きっかけを与えたのが俺だとしても、その夢を見つけたのはAだ。夢を見た理由はもっと単純だったはずだろ』
豹馬に出会って、サッカーの面白さを知った。
満足にバスケができなくなっても、やっぱり私はスポーツが好きで。
選手としてではなくてもスポーツで世界を目指したい、そんな時に出会ったのがアナリストという役割だった。
きっかけは他人でも、そうなりたいと夢を見たのは私。
夢を見た時、そこには他の誰も、豹馬でさえ入り込める余地はなかったはずだ。
「私が決めた、私の夢…」
夢と願いの違いは自分本位かそうじゃないかだ。
豹馬が世界一を見たいという夢は、世界一になってほしいという願い。
微力な支援こそできても、掴めるかどうかは豹馬次第。
私の夢は、私次第。
『目、覚めた?』
「…うん」
『別れない?』
「うん、絶対別れない」
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にいな(プロフ) - はなさん» めちゃくちゃ嬉しいお言葉ありがとうございます…😭😭更新頻度にムラはありますがちゃんと完結させるつもりなのでもうしばしお付き合い願います🤝🏻🫶🏻🧑🏻🦲💫 (4月21日 3時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
はな - やばいこの作品好きすぎます!明日も予定があるのに一気読みして泣いたり笑ったり感情の変化で大変でした笑続きかでるのいつまでも待ってます!これからも頑張ってください、こんなにも素晴らしい作品に出会えて幸せです! (4月9日 0時) (レス) @page20 id: 673a51e041 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - ゆいさん» 返信大変遅くなりました🙇🏻私も書きながら改めて千切豹馬っていい男だなと再確認しております😌もうしばらくお付き合い頂けると嬉しいです〜❕ (3月8日 1時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - 花怜?ゃ?さん» 返信大変遅くなりました🙇🏻もうしばらく続く予定ですので最後までお付き合い頂けると嬉しいです🥰🙌🏻 (3月8日 1時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - コメント失礼します。超、キュンキュンしました❣️❣️続きメチャクチャ楽しみにしてます!!!!! (1月1日 0時) (レス) id: 0c58a6db25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にいな | 作成日時:2023年6月13日 1時