絶賛、アプローチされ中。3【千切豹馬】

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入浴後、化粧水を肌の隅々まで染み込ませていく。


｢風呂上がった？入ってい？｣


｢いいよー｣


ドアがスライドして、部屋に入ってきた豹馬の姿が鏡越しに見える。


机の上に出しておいたドライヤーを手に取ると、私の湿った髪を乾かしていく。


｢ありがとね｣


｢なに？｣


ドライヤーの音で聞こえなかった。


｢あ、り、が、と｣


大きく口を開けて言うと伝わったらしい。


私達が同棲を始めてもう2年が経つけれど、案外上手くやれていると思う。


"お風呂が長いと怒られる"、"相手が全く家事をしてくれない"など、よくある同棲によって発覚するような不満はほぼない。


豹馬は男性の中で美意識が高い方だし、お姉さんがいるからかそれに対しての理解もある。


家事については週に数回ハウスキーパーを雇っている。


お互い仕事が忙しいこと、2人の時間を少しでも多く確保するために同棲後すぐに雇い始めたので揉めたことはないと思う。


似た者同士なのか、似てきたのかはよくわからないけど豹馬の行動を不快に思ったこともない。


多分それは豹馬もで。


日本にいた頃は距離が離れていたせいでできなかった同棲が、イングランドという日本から遠く離れた国で実現。


ここに来るまで楽しいことばかりではなかったけれど、仕事もプライベートも充実している今がとても楽しい。


｢ん、終わり｣


指を通すとプロも絶賛するであろうサラサラ具合。


そして、色違いの歯ブラシで歯を磨けば寝る支度が終了。


｢早く寝るぞ｣


｢はーい｣

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