絶賛、アプローチされ中。3【千切豹馬】

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試合の次の日から、俺達は2週間の休暇をもらい脱獄を許可された。


｢姉ちゃん、髪変じゃない？｣


｢うん、いい感じ｣


最後に持ち物をチェックして家を出る準備をする。


｢あーあ、私も行きたかったなぁ｣


｢何回言うんだよそれ｣


玄関先まで見送りにきた姉ちゃんはずっと文句を垂れている。


｢じゃ、行ってくる｣


電車に揺られること10分程度で到着した駅構内は人で溢れかえる。


大都会ってすげぇ。


改札を出て待ち合わせの場所まで早足で歩く。


集合の時間まではあと20分あるけど、まあいいか。


やべ、ちょっと緊張する。


ひと呼吸ついて気持ちを持ち直し、喜びに胸を張る。


ここを曲がればもうすぐ＿＿


｢ちょっとだけ遊ぼーよ｣


｢人待ってるんで｣


2人のチャラ男に絡まれるも、そいつらには目もくれずあしらうA。


いやいやいや、何やってんのお前。


｢それ言って10分もそこいるじゃん。なに、彼氏？｣


｢……そうです、あんた達じゃ比べ物にならないイケメンの彼氏待ってるんで｣


｢こんな可愛い子待たせる男より俺らの方がいいでしょ！｣


急いで間に割って入りAを抱き寄せた。


｢そのイケメンの彼氏ですけど、この子に何か用ですか？｣


待たせてごめんと言う代わりに、彼女の手をぎゅっと強く握る。


｢イケッ…可愛……？｣


｢あ？｣


｢お、おい、もう行こうぜ｣


男達が完全にいなくなるのを確認して、Aの肩を掴んで顔を合わせる。


｢…遅い。連れ去られてたらどうすんの｣


わざとらしく怒った表情を作るA。


｢ごめんな｣


｢嘘だよ、私が早く来すぎ…｣


｢怖かったよな、ごめん｣


セットされた髪型を崩さないように頭を撫でる。


慣れない場所で1人で待つこと、更には知らない男に絡まれて怖くないわけがない。


｢…ちょっと怖かったけど、もう大丈夫｣


｢ほんと？｣


｢うん、豹馬が来てくれたから｣


"会いたかった！"

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