絶賛、アプローチされ中。2【千切豹馬】

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大好きな人の声を久しぶりに聞いて喜ばないなんて無理がある。


その嬉しさが声に現れて豹馬にも伝わっているだろうし、彼からも伝わってくる。


｢本当に久しぶりだね。大都会はどう？｣


『そうそれな、俺がいるとこ、ブルーロックって言うんだけど、初日から一歩も外に出てない』


｢なにそれかっこいい、厨二っぽくて｣


"外に出てない"が質問への答えなのに、つい施設名の方に引っ張られてしまった。


到着した日から観光する暇もなく、ずっとそこでサッカーに明け暮れていたらしい。


いろんな意味ですごいな、日本サッカー連合。


｢電話じゃなくてメッセージでもよかったのに。疲れてるでしょ？｣


『Aの声が聞きたかったから電話にした。だめか？』


ある1日のスケジュールを聞いたけど、朝から晩までひたすら練習。


今だって明日に備えて寝ておきたいはずなのに。


そんな気持ちを込めた質問に、少女漫画のヒーローのようなセリフで返す豹馬。


｢ビジュだけじゃなく中身も少女漫画出身なのか…｣


『ちゃんとリアルに存在してるわ。Aだって俺の声聞けて嬉しいだろ？』


｢あー、うんー、すっごく嬉しいよー｣


『照れ隠しかよ、本当に可愛いな』


｢もう都合いいように解釈してください｣


半ば諦めでそう言ったものの、"豹馬から電話が来た"と叫びながら近所を全力疾走したい気分であることも事実だ。


『そっちはどう？授業ちゃんと受けてるか？』


｢……当たり前じゃん！｣


『嘘がわかりやすすぎてびびったわ』


｢実は生まれてから一度も嘘ついたことないんだよね｣


『それが既に嘘だろ』

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