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4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴ると、教室から出ていく生徒達がちらほら見える。


お腹は空いているけど食べる気力が湧かない。


「昼食わねーの?」


「んー…悩んでる」


「だめだ、ちゃんと食え」


「ままぁ…」


「ちげーわ」


前の席に座り私の机でお弁当を広げ始める玲王。


「え、なに」


「誰かさんが飯食おうとしないから見張ってやんねーとな」


やっぱママじゃん。


そう言おうとしてデコピンされる未来が見えたのでやっぱりやめた。


鞄からコンビニで買ったサンドイッチ取り出して食べ始める。


「ファーストキスだったんだよね」


「…やるな、あいつ」


ハンバーグ(それ)ちょーだい」


「ん」


食べやすいよう一口大にして差し出されたハンバーグをぱくりと口に入れる。


「美味しいほっぺ落ちた」


「ご健在です」


「あの、Aさん」


味を噛み締めていると、クラスメイトの男子に声をかけられた。


「今、少し時間あるかな?」


「うん、どうしたの?」


「教室じゃあれだから、外行って話したい」


「…いいよ。玲王、サンドイッチ食べないでね」


「言われなくても食べねーよ」


これから起こるであろうイベントを想像して気が重くなった。


教室から出た瞬間、前から来た誰かとぶつかった。


「あだっ……ごめんな、さ…」


負傷した鼻を抑えながら顔を上げると、ぶつかった相手が誠士郎君であることがわかった。


「大丈夫?」


「あ、うん…」


昨日のことを思い出して恥ずかしさと気まずさが交互にやってくる。


「Aさん?」


誠士郎君は少し先にいる彼と私を見て、何も言わずに教室に入っていく。


その横顔は怒っているようにも見えた。

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うなぎポテト - あぁぁぁぁぁ!!やっっっばい尊すぎんかです(尊すぎて敬語が使えません!!)せいしろーがかっちょいい……。吐血案件だこれ🫠更新無理せず!!応援してまーす!! (2023年4月3日 13時) (レス) @page4 id: 9030b78ea3 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - のあさん» 他作品も読んで頂きありがとうございます!私自身も皆様が読みやすい文章を意識しているのでとても嬉しいです🥲長文の感想、本当に励みになります!ありがとうございました‼️ (2023年3月13日 21時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 初めての感想です!普段占ツクなどは使わないしどちらかと言うと夢小説もひとつの小説のように読んでいるのですが、にいなさんのお話とても読みやすくて読んでいたら他作品も読んでいた事に今気づいて“あ、ほんとにこの人の書く話面白いんだな”って感動してます! (2023年3月3日 11時) (レス) @page36 id: 69fedd5e4a (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - はにゃ?さん» いつも読んで頂いてありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくお願いします🙌🏻 (2023年1月22日 14時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ? - とても読みやすいです。これからも応援してます。 (2023年1月22日 10時) (レス) @page35 id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にいな | 作成日時:2023年1月9日 20時

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