35 ページ35
.
｢佐藤君の気持ちには答えられない。ごめんね｣
｢そっか…聞いてくれてありがとう｣
立ち去っていく佐藤君の背中を見送りながらしばらくその場に立ち尽くす。
好きになってくれた相手の好意に応えられない。
何回経験しても慣れないなぁ。
少し長めの溜息をついて、疲れた心を誤魔化そうと自販機に飲むものを買いに行く。
｢レモンティー｣
ふと目に入ったレモンティーに、誠士郎君を思い出す。
好きだって言ってたな。
気がつけば私の指先はレモンティーのボタンを押していた。
｢あ…｣
落ちてきたペットボトルを拾って重症だな、と苦笑する。
一口飲むと程よい甘さが口の中に広がる。
食べかけのサンドイッチを思い出して重い足を教室に向かわせた。
廊下を歩いていると、周りの生徒達がざわついているのに気がついた。
｢びっくりしたよね〜｣
｢あの人が走ってるの初めて見たんだけど｣
走るだけで驚かれる人がいるんだ、誰だろ。
気になって周りの声に耳を澄ませる。
｢"凪"って走るんだね｣
その名前を聞いた瞬間、足がぴたっと止まった。
凪って、私の知ってる凪誠士郎？
だとしたら、なんで走ってるの？
｢その人、どこに行ったかわかりますか！？｣
｢え？中庭の方に行ったけど…｣
｢ありがとうございます！｣
女の子にお礼を言って、目的地を教室から中庭に変更した。
早く行かなきゃいけない気がして、気づいたら走っていた。
誠士郎君に会わなきゃ。
中庭に到着して周りを見渡す。
見慣れた彼の後ろ姿が、少し遠くに見えた。
｢誠士郎君！｣
彼は振り返って私を認識するとこちらに駆け寄ってきた。
｢A…大丈夫？｣
息を切らした私を気遣う誠士郎君の優しさに心が暖かくなった。
けど、
｢ちょっと、タンマ…｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 812人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ブルーロック」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うなぎポテト - あぁぁぁぁぁ！！やっっっばい尊すぎんかです（尊すぎて敬語が使えません！！）せいしろーがかっちょいい……。吐血案件だこれ🫠更新無理せず！！応援してまーす！！ (2023年4月3日 13時) (
レス) @page4 id: 9030b78ea3 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - のあさん» 他作品も読んで頂きありがとうございます！私自身も皆様が読みやすい文章を意識しているのでとても嬉しいです🥲長文の感想、本当に励みになります！ありがとうございました‼️ (2023年3月13日 21時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 初めての感想です！普段占ツクなどは使わないしどちらかと言うと夢小説もひとつの小説のように読んでいるのですが、にいなさんのお話とても読みやすくて読んでいたら他作品も読んでいた事に今気づいて“あ、ほんとにこの人の書く話面白いんだな”って感動してます！ (2023年3月3日 11時) (レス) @page36 id: 69fedd5e4a (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - はにゃ？さん» いつも読んで頂いてありがとうございます！これからも頑張りますのでよろしくお願いします🙌🏻 (2023年1月22日 14時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ？ - とても読みやすいです。これからも応援してます。 (2023年1月22日 10時) (レス) @page35 id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にいな | 作成日時：2023年1月9日 20時
