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1番古い記憶は私の母親がずっと居なかった父親を
連れてきたことだった。



「A、今日からこの人があなたの父親になるの」

「宜しくね、Aちゃん」



母親の隣にいたのは凄く優しそうな笑顔をした
長身の男だった。



「よろしくおねがいします」



その日も母親に学んだ作法を寸分違わずこなしていた
その男はその姿を見て少し寂しい笑顔をした


「ほら、彼方も…お前の妹だよ」

「……よろしく」



この頃から彼は少し私に無愛想だったと思う



「さ、挨拶は終わったわね。
じゃ私は禪院家に行かなければならないから
司さん、宜しくね」



そういって私に目もくれず背中を見せるその姿は
例え愛する人を前にしても変わらなかった。



「…それでは」


巫蠱式術の使用の有無は6歳〜7歳の発令で
その暴走の後で巫蠱術師かそうでないかが別れるらしい

その時の暴走に備え鎌代家の人間は7歳になる迄
もしくはその術式が発令する迄、敷地内の離れで過ごすことになる。


つまり新しい父親とも会うことは無い
あんな母親だ、直ぐにこの父親も離れていくだろうと
幼いながらに理解していた。



彼方は何も言わず新しい父親の後ろに隠れていた




私は少し2人に申し訳ないと思いながらも
踵を返した




いつ帰ってくるか分からない母親が見えなくなるまで
頭を下げて

誰も言えない離れへ帰っていく


その日はたまたまこれから家族になる人達が家に居ただけ


私のやることは変わらない


離れにある本を読み尽くして


あの時から来ないもしもの時に備える



それだけ





それだけだった






あの人が私の腕を掴むまでは

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作者名:久遠 | 作成日時:2020年12月27日 1時

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