STORY 56 ページ14
ヨナside
「……で。コイツどうする?」
アリスを襲った魔法学者を見つめた後、黒のキングがそう言ってきた。
逃げないように紐で縛ってある。でも、逃げ出すか分からないから、黒のエースが銃をそいつに向けたままだった。
「…お前。何故アリスを襲った?誰かからの命令か?」
俺は何の感情も込めていないような声で魔法学者の目の前にしゃがみ込んだ。俺の質問に、顔は見えないが、焦ったような顔をしている事が感じられた。
「……言えよ。誰からの命令だ?」
俺が剣をゆっくり引き抜いて首元に当てると、余計焦ったような顔をして、叶わないと思ったのか、話し出した。
「…いづれ、この国は我々が支配するんだっ…!赤も黒も我々の支配下に入れて…!」
コイツの声は、小屋の中に少しだけ木霊した。少しの沈黙が流れた後、黒のキングが呆れたように言い放った。
「…答えになってないだろ。
まぁ、要するにお前らのトップの奴だな?
それで、この近くにも本当は仲間がいる。」
黒のキングがそう言って、魔法学者の顔を見るとまた焦ったような顔をしていた。その顔を見て笑ったのか、黒のキングが軽く笑った。
「でも、残念だったな。うちの10と赤のエースがいるんだ。お前って、実は馬鹿なのな。」
そう言われて、黒のキングは何処か悲しそうにでも妬ましそうに見下していた。
その表情を不思議に思ってみていると、俺の方を見てこう告げた。
「…コイツは、俺達の軍で見張っとく。…Aが倒れた。よろしく言っておいて。
それと、『馬鹿』って言っといて。」
そう言う声色はとても優しく、何処か憂いを帯びていた。
「…ありがとう。礼を言う。
ランスロット様からAの面会なら我軍に訪問する事を許可された。
Aに会いに来る時は、武器は持って来ないでよね。」
俺は去り際にそう告げて、小屋を出て行った。そして、外に止めてあった馬に飛び乗り急いで赤の軍に向かった。
_無理しないでって言ったのに!
心の中でそう思いながら、俺はAのさっきの動きを思い出していた。
無駄のない動き。だけど、相手にきちんと痛みを与える場所を当てていた。その動きは、昔の頃とピッタリ重なっていて、少しだけ驚きを感じた。
_いつまでも、あの2人は俺の恩人で、Aは守らなきゃいけない存在だ。
『…ヨナ。何かあったら、Aと仲良くしてくれよな。』
その言葉を思い出していたたまれない気持ちになり、馬の走る速度をあげた。
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Re-(^^)(プロフ) - 一気読みしちゃいました更新楽しみに待ってます!! (2019年10月24日 0時) (レス) id: ff2569188a (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください!更新待ってます!(^ー^) (2018年10月23日 23時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - ミヤビさん» 遅くなってすいません!ありがとうございます!(*´ω`*)納得いかないと嫌なんですよね…。ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月20日 18時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤビ(プロフ) - 小説書いたことないので辛さをわかることができませんが、応援しています! (2017年5月19日 17時) (レス) id: d8582f9ac6 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - コッペパンさん» 本当ですか?!嬉しいです…!頑張りますね!(≧∇≦) (2017年3月27日 0時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美華 | 作成日時:2017年3月17日 23時