検索窓
今日:25 hit、昨日:25 hit、合計:200,795 hit

37.神の遣い ページ37

特に用もなく、久し振りのゆっくりとした休日。
縁側で日向ぼっこをしながら小説を読んでいると、カサカサと近くの桜の木が葉を揺らした。

何かいるのかと目を凝らしていると、そこから顔を出したのはイライのペットのフクロウだった。
そういえばこの子を見たのはマイクの件以来。
放し飼い…というのか、普段は結構自由に行動しているんだな。
なんて眺めていれば、フクロウが何か口に加えていることに気付いた。


「うげ…」


ネズミだった。

そういえばフクロウってこんな可愛い見た目だけど肉食だったっけ。
残酷な食物連鎖の裏側を見てしまった…。

フクロウは食事を終えると私の隣にちょこんと飛び移った。

さっきまでネズミを貪っていたとは思えないほど可愛らしい姿だ。


「この前はありがとうね。」


頭を撫でながらほとんど独り言のようなそれを零した。

マイクが居なくなった時、真っ直ぐあの蔵へと導いてくれたのはこの子だった。

その時は考える余裕なんてなかったけれど、今思えばこのフクロウはただのフクロウではないのかもしれない。

分からないけれど、こう、有難みのある、神様の遣いとか…だったりして。


「んなわけないかー。」


「何ひとりでブツブツ言ってるんですか。」

「おお、いたの。」

うーん、と項垂れている所へやってきたのはイソップだった。
程よく陽の当たる縁側はいい読書スポットで、私と同じくイソップもお気に入りらしい。
なのでここで鉢合わせることは珍しくないのだ。

「この子ってただのフクロウじゃないんじゃないかなーって思ってさ。」

「…ああ、クラークさんの…。」

話すとイソップは大して興味もなさそうに相槌を打って隣に座った。

もしかしたら何か知っているのかも。
けど、何となく聞かない方が良い気がして、出かけた言葉を飲み込んだ。

38.月の物語→←36.別人



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (276 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
526人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

【湖の宝石】(プロフ) - 最近また見直しているんですけど、ニヤニヤが止まらなすぎて親に白い目で見られる事もありますが、何度読み返してもやっぱりこの作品が第五人格で一番大好きです!素敵な作品を作ってくださり、そして今でも更新してくださり本当にありがとうございます!! (2022年6月21日 23時) (レス) @page1 id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
いくらちゃん。(プロフ) - 暁郗さん» イラストを褒めていただき嬉しいです!ナワーブくんはシリーズ1へお引越し、2にはイライくんのイラストが来るのでまた見てやってください! (2021年8月10日 13時) (レス) id: 30d3d73915 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 俺の推し(ナワーブ)がイケメンすぎて辛い、ありがとうございます……………。 (2021年5月4日 9時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 待って待って待ってください、ナワーブ君のイラストイケメンすぎじゃないですか??え、推しが尊い(遺言) (2021年5月4日 9時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
いくらちゃん。(プロフ) - りなさん» 少しでも補給になっていれば嬉しいです!笑 (2020年8月31日 22時) (レス) id: 30d3d73915 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いくらちゃん。 | 作成日時:2020年4月10日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。