27.仲間だから ページ27
リビングに入ると、イソップがキッチンの方で洗い物をしていて、ナワーブとノートンはダイニングの椅子に座ってテレビを見ていた。
イライの言っていた通り、あの女の姿はない。
テーブルの上には1人分の食事。
どうやら皆食べ終わって、あとはボクだけみたいだ。
ボクはフォークを手に取り事務的に朝食を口に運ぶ。
誰も言葉を発することなく、ただテレビの中の人の声と、カチャカチャという洗い物の音だけが耳に入る。
「なあ。」
腹も満たされ、料理の少し残った皿にフォークを置いたとき、テレビに顔を向けたままのナワーブがボソリと呟いた。
誰にかけた言葉なのかもわからず、不思議に思いながら水の入ったコップに口をつけると、
「なあ、マイク。」
今度ははっきりと、ボクの方を見て名前を呼んできた。
「なあに。」
仕方なく返事をしてやれば、ナワーブはその気の抜けたような抜けてないような目で、ボクを真っ直ぐ見据えたまま話し始めた。
「俺はお前とまあまあ長い付き合いだと思ってる。コイツらも。」
…急になんだ。
イライやノートンがちらりとこちらを伺うのが見えた。
怪しく思いながらもそのまま耳を傾ける。
「境遇は違っても同じ釜の飯を食ってきた仲間だ。それなりに気持ちもくんできた、つもりだ。」
「…なに、ナワーブらしくない。言いたい事はっきり言ってよ。」
なかなか本題に踏み込まない言い草に少しイライラしてきて、強めの口調で言ってみたら、真剣な表情のナワーブは
「アイツの何が気に食わない?」
と。
『アイツ』…、Aのこと?
昨夜の件で傷付いたAがナワーブに泣きつきでもしたか。
やっぱりナワーブもあの女が心配で、大事で、堪らないんだ。
ふつふつと怒りのようなものが湧いてくるボクの気も知らずにナワーブは続ける。
「俺の見る限り、お前はここに来た時からアイツに対して反発的だ。お前、何かされたのか?」
「ナワーブには関係ない…。」
「いいやあるね。」
「……。」
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【湖の宝石】(プロフ) - 最近また見直しているんですけど、ニヤニヤが止まらなすぎて親に白い目で見られる事もありますが、何度読み返してもやっぱりこの作品が第五人格で一番大好きです!素敵な作品を作ってくださり、そして今でも更新してくださり本当にありがとうございます!! (2022年6月21日 23時) (レス) @page1 id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
いくらちゃん。(プロフ) - 暁郗さん» イラストを褒めていただき嬉しいです!ナワーブくんはシリーズ1へお引越し、2にはイライくんのイラストが来るのでまた見てやってください! (2021年8月10日 13時) (レス) id: 30d3d73915 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 俺の推し(ナワーブ)がイケメンすぎて辛い、ありがとうございます……………。 (2021年5月4日 9時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 待って待って待ってください、ナワーブ君のイラストイケメンすぎじゃないですか??え、推しが尊い(遺言) (2021年5月4日 9時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
いくらちゃん。(プロフ) - りなさん» 少しでも補給になっていれば嬉しいです!笑 (2020年8月31日 22時) (レス) id: 30d3d73915 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いくらちゃん。 | 作成日時:2020年4月10日 21時