【ヒロアカ】手違いで男子として入学しました。 (ページ15)

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15.荒れ模様ページ15

貴女side

「あちゃー、雨降ってるよ。」

全ての授業が終わり、さて帰ろうかと正面玄関で靴を履いていると、たまたま居合わせた麗日さんのそんな声が聞こえた。

「傘、持ってきてないの？」

「うん、朝天気良かったから…。」

今日家の手伝いしなくちゃなのにーと嘆く彼女に、自分の傘を渡した。

「いいの？水瀬くんのは？」

「僕は予備があるから大丈夫。」

ぽんぽんとカバンを叩いてみせると、麗日さんは安堵したように笑う。

「助かるよー！急いでるからもう行くけど、絶対お礼するから！！」

そう言って勢いよく手を振ると、物凄いスピードで帰って行った。
本当に急ぎだったんだな。
間に合うといいけど。

かくいう私は、予備の傘があるなんてただの出任せで、次々と帰っていく生徒たちを横目に雨が止むのを待つしかない訳だが。
予報ではこの雨は一時的なものらしいから、焦る必要も無いだろう。

それからどれくらい時間が経っただろうか。

雨が止む様子はない。
寧ろ、だんだんと強くなっていってるような…。

この場には自分の他に誰もいない。
流石に焦りも出てくる。
これは濡れて帰るしかないのか…。

そんな考えに至り始めた時。
背後の靴箱で物音がした。

あ、爆豪くん。

こんな時間まで何をしていたのだろうか。
…なんて、自分が言えることではないか。

爆豪くんは傘立てから一本傘をとると、1度私の方へ視線を寄越してからそのまま横を通り過ぎ、傘をさして出ていった。

天気予報とかきちんと確認するタイプなのかな、意外と。
それともお母さんに持ってけって言われたのかな。

「…よし。」

覚悟を決めて私も帰ろう。

カバンを頭の上にセットし、雨の中へ駆け出そうとしたその時だ。

ビュオオオオオオ！！！！！

「うわっ！？」

突如物凄い風が吹き、体が強く横へ押される。
これはただ事じゃないと、急いで玄関へ戻ろうとする、が。

先程出ていった爆豪くんが気になり、出て行った先を視線で辿る。
すると、傘が裏返しになってもなお踏ん張りずぶ濡れになりながら帰ろうとする彼の姿が。

私は急いで追いかけて、その腕を掴んだ。
昨日怪我した足首が痛むが構っていられない。