すてきな夜空 【 alan 】

− ページ42

.






亜｢満足！｣








お参りして、
おみくじ引いて、
絵馬書いて、

大満足の亜嵐くん。








亜｢俺このへん昔よく来てた｣

『え、そうなの？』









ふらふらと歩いていると
亜嵐くんがふとそう言った。


そう言えば、
私は、亜嵐くんのことをあまり知らない。




このへんが亜嵐くんの地元なの？
誰と何をしに来てたの？




最初は知らないことに
引っかかってたけど
知らないのはお互い様だし、
って思うようになってた。


だから、トマトが嫌いなんだって
初めて知ったのも最近だった。
(ミカには、そんなの常識！って言われた。)









亜｢またぼーっとしてる？｣

『ん？あ、いや。』

亜｢なに？｣

『やっぱり私、亜嵐くんのことあんまり知らないよね』

亜｢え、昔のこと？｣








それだけじゃないけど…









亜｢知らなくて当然じゃないの？｣

『当然？』

亜｢生まれた時から一緒なわけないし。｣

『まぁ…』

亜｢でもこれから起こることは全部知ってることになるし、｣









今までのこともいっぱい話すよ、
って亜嵐くんは言った。


私は何にモヤモヤしてたのかな。



あぁ、私より亜嵐くんを知ってる
ミカやナオみたいなファンの子達に
嫉妬してたんだ。









亜｢今度俺の生い立ちまとめてこようか？｣








笑いながら亜嵐くんが
ふざけて言うけど、


『そんなのいらないよ』




"みんなの知らない亜嵐くん" を
私はいっぱい知ってるから。


これからもいっぱい
"みんなの知らない亜嵐くん"
が増えていくんだから。






.

−→←−

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す